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ゆみのアルバイト

「ゆみは、佐渡先生の、ここの動物病院でアルバイトしたいの」

ゆみは、佐渡先生にお願いした。

「アルバイトって、ゆみ君はお仕事がしたいのか?」

「うん。動物が大好きだから」

ゆみは、佐渡先生に答えた。

「ここで働いて、もっと動物のことを知って、将来は先生のように獣医さんになりたい。病気の動物たちをたくさん助けてあげられるような獣医さんになりたいの」

「そうか」

佐渡酒造は、ゆみに頷いた。

「お母さんは、どうですか?ゆみ君が、ここで働くことについて何かありますか?」

そして今度は、お母さんに聞いた。

「そうですね。彼女は小さいときから犬や猫とか動物が好きですから」

お母さんは、佐渡酒造に言った。それから、ゆみの方に向くと、

「ゆみちゃん。あなたが動物のこと大好きなのは、お母さんもずっと昔から知っているわ。でもね、アルバイトなんて、佐渡先生にご迷惑でしょう。だから、たまに、ここにいる猫たちに会いたくなったときだけ、遊びに来させてもらうようにしたら」

と、ゆみに提案した。

「だって、あたし獣医さんになりたいの」

ゆみは、お母さんに言った。

「うん。ゆみちゃんが獣医さんになりたいっていうのはわかるけど。ごめんね、あなたはお母さんとお父さんの子どもなの。だから、貧民の子なのよ。貧民はお医者さんにはなれないものなのよ」

お母さんは、ゆみの前にしゃがんで話してくれた。

「だから、お医者さんになるのは諦めましょうね」

お母さんは、寂しそうに、ゆみに説明してくれた。

「いや、諦める必要などないぞ!ここの病院でアルバイトすればいい」

突然、佐渡酒造がお母さんの後ろから、ゆみに話しかけてきた。

「ただ、獣医になるのだったら、こんなちっぽけな病院でアルバイトしているだけでは、絶対に獣医になんかなれないぞ」

佐渡酒造は、ゆみに言った。

「ちゃんと勉強もしなくてはいかん。大学の、医学部に入学し、しっかり勉強して、卒業しなければ、獣医さんにはなれない。ゆみ君、君は今いくつだね?」

佐渡酒造は、ゆみに聞いた。

「中学1年生・・だったの。ガミラスが地球に攻めてくる前までは」

「では、まず高校を卒業しなければ大学の医学部になんか入学できないからな。まずは高校に入学して、勉強をして、卒業して、そうすれば大学医学部に入学できるじゃろうよ」

佐渡酒造は、ゆみに言った。ゆみも、そのぐらいのことはわかっていた。しかし、貧民にされてしまっているのだ。貧民には、中学校も高等学校も入学する資格など無かった。中学や高校に入学できなければ、当然、その上の大学で勉強する資格なども持ち合わせていなかった。

「ゆみ君。君は1丁目の奥にある防衛省直属の宇宙戦士訓練学校って知っているかな?」

ううん、ゆみは首を大きく横に振った。

「わしは、宇宙戦艦ヤマトの医者じゃからな。防衛省には、いちおう顔が利くんじゃ。だから、お前さんを宇宙船師訓練学校に入学させてやる。もちろん貧民ということは内緒にしてだぞ。だから、ゆみ君は、宇宙船師訓練学校で勉強してこい」

佐渡酒造は、ゆみに言った。

「宇宙戦士訓練学校?あたし、宇宙船師になんかならないよ」

「もちろんじゃ。宇宙戦士訓練学校に入ったからといって、宇宙戦士になんかなる必要はない。ただ、宇宙戦士訓練学校を卒業すれば、高等学校を卒業したのと同じ資格がもらえる。だから、ゆみ君は、宇宙戦士訓練学校に行って勉強して、卒業しなさい。そして、その卒業資格で、大学の医学部に入りなさい。そうすれば獣医にだってなれる」

佐渡酒造は、ゆみに提案した。ゆみにとっても、佐渡酒造からの提案は思いがけないものだった。高校に行けて、さらに卒業すれば、大学にも行けるというのだ。地球政府に貧民にされてしまって以降、いやガミラスが地球に攻めてきてからというものの、お姉ちゃんは行方不明になるわ、貧民にされて貧民街に閉じこまれてしまうわ、何も良いことがなかったゆみにとって、ここ最近無かった願ってもないチャンスに想えた。

ゆみは、お母さんの顔を見た。

「それは良いお話だと思うのですが、本当に、貧民のゆみがそんな学校に入学できるのですか?」

お母さんは、佐渡酒造に聞いた。

「それを、明日わしの良くしてもらっている学校の友人に話してみるわい」

佐渡酒造は、お母さんとゆみに言った。

「全ては、それからじゃな」

宇宙戦士訓練学校生につづく

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