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ヤマトの旅

ヤマトが地球を出発してから半年ぐらいが経っていた。

「ああ、お母さんに会いたいな。お父さんはどうしているかな?ゆみは泣いたりしていないかな」

祥恵は、時間ができると、よくヤマトの展望室で一人で考え事をするようになっていた。

考え事をしていると、やっぱり思い浮かぶのは地球に残してきた自分の家族のことだった。父や母、妹のことばかり頭に浮かんでくる。地下シェルターの中で、どんな暮らしをしているのだろうか?お父さんは、地下シェルターの中でも歯医者さんの仕事をしているのだろうか?地下シェルターにも学校があって、ゆみはちゃんと学校に行って勉強をしているのだろうか?私が一緒でなくても一人で通学出来ているのだろうか。そして、考え事の最後は、必ず決まっていて、自分の家族は地下シェルターの中にたどり着いてはいるのだが、そこで放射能が漏れてきて全員死んでしまったとか。あるいは、新宿の地下街で地下シェルターの順番待ちをしているときに、ガミラスの宇宙船が攻めてきて、地下シェルターまでたどり着くことが出来ずに、そのまま死んでしまったりと、最後は家族を死に追いやってしまって考え事は終わるのだった。

「ああ、やめよう。やめよう。うちの家族は、ちゃんと地球で地下シェルターの中で無事に生き残って、私の帰りを待っていてくれているから」

と、祥恵は自分で自分のことを安心させて、ヤマトの職場に戻っていくのだった。

地球で待っているであろう家族のことを考えていると、どうしても最後は悲劇の場面を思い描いてしまうので、祥恵は考え事をするのが嫌いだった。

だから、出来るだけ自分のことを忙しく働かせて、ヒマな時間を、考え事をする時間をなるだけ自分に与えないようにしていた。

ヤマトが地球を出発してから半年も経つと、いくら、その行き先をガミラスの宇宙艦隊に何度も妨害されたとはいえ、目的のイスカンダル星までの航路の半分以上は、無事に航海してきていた。場所にすると、だいたいマゼラン星雲の辺りまでは到着していた。

このマゼラン星雲を過ぎると、もう目的のイスカンダル星は目の前らしいと、祥恵は航海班長の島大介から聞いていた。ここまでで半年かかっている。となると、無事イスカンダル星に到着して、放射能除去装置のコスモクリーナーを頂いて、それを持って地球に戻ると、あと半年以上はかかることになってしまうだろう。地球が放射能で滅亡してしまうまでにあと半年と聞いている。その前にヤマトは地球に戻ることができるのだろうか?祥恵は、少し不安になっていた。

「もし、私が地球に戻れたとして、そのときには地球上の生物が全て滅亡していたら、お父さんもお母さんも、ゆみもいなくなってしまっていたら、私っていったいなんのためにヤマトに乗ってしまったのだろう」

考え事をすると、どうしても悲劇の場面ばかり思い浮かんでしまうみたいだ。

「ああ、やめよう。やめよう。そんなこと考えても仕方ないじゃん。ヤマトは、きっと間に合う。地球に戻れば、お父さんもお母さんも、ゆみも皆、元気で私のことを迎えてくれる。うん、そう信じよう」

ピー、ピーピーピー!

そのとき、ヤマトの艦内放送で警告音が鳴った。

「敵、ガミラス機を前方に発見!手の空いているコスモタイガー隊員は、コスモタイガーで偵察に向かってくれ」

第二艦橋の相原さんから艦内放送が入った。

「こちら、祥恵。コスモゼロにて偵察に向かいます」

祥恵は、近くにあった壁の受信機を取って、第二艦橋の相原さんに連絡を入れた。

「了解!お気をつけて。よろしくお願いします」

相原さんから祥恵のところに返信があった。祥恵は、ヤマトの格納庫に急いでいくと、自分の担当のコスモゼロ機の機体に飛び乗って、宇宙へと発進していった。

戦闘班長につづく

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