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期末試験そして進級会議・・

「ああ、結局、7年の成績は、さんざんだったな」

祥恵は、いつものゆり子たちと話していた。

3学期の期末試験が終わって、放課後に教室の後ろのところに集まって、試験が終わった緊張感をほぐしているのだった。

「それにしても、祥恵の妹のゆみは、すごいよね。また満点だものね」

夕子が、祥恵に言った。7年の1学期の中間試験から2学期、3学期と全部で5回試験があって、その試験すべてが満点だったのだ。当のゆみは、小等部の頃から試験があると、いつも満点だったので、特に珍しくもなく麻子やまゆみと一緒に、お昼のお弁当を食べに音楽室へ行ってしまっていた。

「本当だよね。満点取ってるのが、自分の妹だって信じられないよ」

祥恵は、夕子に返事した。

「祥恵は、食事終わったら部活行くでしょう?」

「もちろん。ずっと試験中、勉強ばかりだったから身体がなまっちゃって動かさなきゃ」

祥恵は、美和に言われて、手を上下に振りながら答えた。

「俺は帰るわ」

夕子が言った。

「え、夕子は帰るの?なんで、部活やっていかないの?」

「この成績じゃ、昨日父親にめちゃ怒られてしまって、今日ぐらい家からまっすぐ帰って勉強しているところ見せないと、まずいから」

「そうか。夕子も大変だね」

「私も、2学期の期末のとき、お父さんにさんざん言われたよ。成績上がらないなら、部活なんかやめちまえとか」

祥恵が、夕子に言った。

「祥恵の親って優しそうなのに、そんなに怒ったりするんだ」

「怒るよ。っていうか、ゆり子は、ゆみと一緒にいるお母さんしか見てないから、そう思うんだよ」

祥恵は、ゆり子に話した。

「うちのお母さん、ゆみには、チョー甘いから。ゆみに接する態度と私に接する態度めちゃ違うんだから。それで持って、お父さんはお父さんで、けっこう私にはお前は長女なんだからって言ってくるし」

「へえ。でも、なんとなく祥恵のお母さんが、ゆみちゃんだけに甘いっていうのはわかる気がする」

ゆり子は、祥恵から話を聞いて、今井家の様子を想像しながら答えた。

「でしょ!」

「さあ、部活に行って、思い切り身体を動かしてこよう!」

美和が立ち上がると、祥恵も一緒に立ち上がって、2人は部活がある体育館に行ってしまった。

「ゆり子も帰るでしょう?」

「うん。一緒に帰ろうか」

夕子とゆり子は、教室を出て仲良く一緒に家路についた。

「で、これは文句無しですな」

佐伯先生は、ゆみの試験の結果をほかの先生たちにも見せながら発言していた。自分の担任しているクラスのゆみが成績が良いので自慢したいという表情が顔に現れていた。

「確かに、これは間違いないですな」

「ええ、進級は9年ですね」

職員室の会議室で、7年生の先生たちが集まって会議をしていた。生徒たちの1年間の試験の結果を照合しながらの進級会議だった。

「それでは、今井ゆみさんは今度の進級では8年でなく9年への進級で問題ありませんね?」

会議の司会であり進行を行っている教頭先生が先生たちに尋ねた。先生たちは、教頭先生の言葉に賛成とばかりに拍手で応えていた。

「はい」

手を上げたのは大友先生だった。ほかの先生たちは、最初はいと言う大友先生の言葉が、飛び級賛成という意味のはいだと思っていた。

「大友先生、どうぞ」

「私は、彼女の飛び級には反対です。彼女は、まだまだ中等部の最上級学年、9年になれるだけの成長はしていないと思います」

大友先生は、教頭に反論した。

「ほお、それはなぜ?」

教頭先生は、皆が飛び級に賛成する中、たった1人だけ反対する大友先生の態度をおもしろがりながら質問した。

「確かに、この成績だけを見れば、7年の授業内容は彼女に簡単すぎるように思えます。が、1年間、私は彼女と接してきて、彼女はぜんぜん中等部の7年として成長できているようには思えません」

大友先生は、会議で堂々と発言した。

「中等部、中学生の成長とは勉強の善し悪しだけではないでしょう。彼女は勉強はできるかもしれないが、心はちっとも成長できていないように思えます。彼女は、仲の良いクラスの子とよく音楽室に来てお昼を食べているのだが、いつもお友だちとも、友人というよりも姉と妹のような感じで、かなり甘えん坊なところが見受けられます」

「それは・・実年齢がかなり下なので」

英語の塚本先生が、ゆみのことを擁護してくれようと発言した。

「なるほど。確かに精神的に成長していないという部分は多分に見受けられる・・」

ほかの先生たちも、大友先生の発言に賛同し始めていた。

「でも、落第とか留年というのは、彼女にショックを与えてしまうのでは」

塚本先生は、ゆみを擁護して、大友先生に意見した。

「あ、もちろん留年とか落第させるような点数でもないし、そんな留年させるほど彼女が不良な子ではないとは、私も思っていますよ」

大友先生は、塚本先生に言った。

「では、このまま引き続き、彼女は飛び級無しで8年生に進級ということで宜しいでしょうか」

佐伯先生が、皆に尋ねた。ほかの先生たちは、佐伯先生に頷いた。

「はい」

大友先生が手を上げた。

「彼女が、このまま通常通りに8年生へ進級することには私も賛成です。賛成ですが、1組でなく4組へ進級させてほしいです」

大友先生が提案した。大友先生の提案に、ほかの先生たちは驚いていた。

「それは、彼女が成績優秀だから大友先生の担任である4組に欲しいということでしょうか?」

2組の担任の社会の内藤先生が、質問した。

「私は別に構いませんよ。彼女を引き取ってもらえるのなら、引き取って頂いても」

自分のクラスの成績とか体裁に全くこだわりのない佐伯先生がラーメン頭のもしゃもしゃした髪をかき上げながら答えた。

「私は別に彼女が成績優秀だから、自分のクラスに欲しいと言っているのではありません。彼女をこのまま姉と同じ1組のクラスにしておいては、彼女はいつも姉に頼ってしまって、精神的に自立、成長しないだろうと言っているのです。だから、1組から一番遠い教室の4組が妥当ではないかというだけです。なんなら、依田先生の3組でも構いませんが」

大友先生は、答えた。

「私の担当の世界史は8年からスタートするので、私は、まだ彼女を受け持ったことはありません。なので、ここは1年間音楽の時間を通して接してこられた大友先生にお任せする方が妥当ではないでしょうか」

「そうですね」

職員会議では、満場一致で、ゆみのことを通常通り8年に進級、但しクラスを1組から4組に変更することで賛成となった。

「美味しいね!」

「でしょう?ぜったい、この味は、ゆみちゃんが好きだと思った」

音楽室で馬宮先生は、自分の作ってきたスイーツを、ゆみや麻子たちに食べさせながら話していた。

「うん。このベリーが入っているところが美味しい」

ゆみは、先生の作ってきたスイーツを口に頬張りながら話していた。

「そういえば、大友先生は?」

まゆみが、音楽室に姿の見えない大友先生のことを聞いた。

「中等部の進級の職員会議だって」

馬宮先生が、悪戯っぽく微笑みながら、まゆみに答えた。

「ああ、そうか。なんか特に留年になってしまう覚えは無いんだけど、進級会議とか聞くだけでドキドキしてしまうね」

「うん」

麻子も、まゆみに頷いた。

「せっかくお姉ちゃんと一緒の学年になれたのに、留年しちゃったらどうしよう?」

「ゆみは、留年なんかするわけないでしょう」

ゆみは、麻子に自分の頭を小突かれた。まさか、自分が大友先生の提案で進級会議の話題の中心になっていたとはぜんぜん知らずにいた。

バラバラにつづく

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