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ニューヨーク旅行

「夕子!」

夕子は、マンハッタンの街中を母と歩いているときに声をかけられた。

「あ、朋子!」

「久しぶりだね、夕子。おばさんもこんにちは」

朋子は、久しぶりに会う夕子を懐かしそうに見ていた。

「ごめんね。こんなマンハッタンの人混みの中での待ち合わせで」

朋子は、夕子に言った。

「ううん。別にいいけど。マンハッタンで待ち合わせなんて、やっぱ朋子も大人になったんだね」

「ううん、全然そうじゃないの。本当は、いつも一緒にいたリバーデールだったら良かったんだけど。今、あたしリバーデールに住んでいないんだ」

朋子は、夕子に説明した。

「え、引っ越したの?」

「うん。っていうか、あたしだけじゃないよ。今はリバーデールにいた日本人は皆、あそこから引っ越しちゃって、新しくニューヨークにやって来る日本人も皆、リバーデールには住んでいないの」

「そうなの?」

「うん。夕子たちが帰って・・ううん。春子たちが帰国してしばらくしてからかな。なんだか急にリバーデールって治安の悪い町になちゃって。日本人は皆、クイーンズとかフォートリーの方に移ってしまったのよ」

「そうなんだ。そういえばPS.141とかも不良ばかりだったものね」

「うん。まあPS.141は大分前から不良ばかりの中学だったけどね」

朋子は、夕子に言った。

「で、今日はどこに連れていってくれるの?」

夕子は、朋子に聞いた。

「そうだね。どこでも良いけど、マンハッタンのお店とか巡りたい?」

「え、特には。別に」

「だよね。そう思って、ゆみちゃんと約束してあるの。彼女の家に夕子のことも連れて、遊びに行くって」

「そうなんだ」

夕子は、本日のニューヨークでのガイドを勤めてくれる朋子の後を歩きながら言った。

「そういえば、彼女は日本人っていうよりも現地のアメリカ人みたいな子だものね。彼女は、今もリバーデールに住んでいるの?」

「そんなわけないじゃん。隆さんは純粋な日本人だもん。隆さんと一緒にリバーデールの町を離れてマンハッタンに住んでいるの」

朋子は、夕子に言った。

「それと、確かに、ゆみちゃんは生まれてからずっとアメリカ暮らしだけど、彼女自身は、お父さんもお母さんも日本人だし、日本人の隆さんの妹だから、自分のことを日本人と思っているから。現地の子とか言わないであげてね。彼女傷ついちゃうから」

「わかった。ごめん」

「日本語もちょっと聞きづらいところあるかもしれないけど、日本人の日本語だと思って話を聞いてあげてね」

「うん、わかっている。それは、私がニューヨークにいた頃からそうだったから」

「そうだよね。夕子が初めて日本からこっちに来て、ゆみちゃんと会ったとき、ゆみちゃんって普通に日本語しゃべっていたのに、夕子ったら、ちょっとこの子の言葉、何を言っているかわからないって言ったんだよね」

朋子は、当時の様子を思い出しながら笑って言った。

「そうだったよね・・でも、あのときは本当に聞きづらかったんだもん」

夕子は、ちょっと恥ずかしそうに照れながら答えた。

「まあ、夕子がそう言いたくなったのも、わかるけどね」

そして、朋子は、夕子とお母さんの2人を連れて、マンハッタンの中に建っている一軒のアパートメントの中、エントランスに入った。

ドアマンに挨拶して、入り口のオートロックのボタンを押す。

「はーい」

インターホンの向こうから可愛らしい女の子の声がした。

「あ、ゆみちゃん。朋子です」

「朋子お姉ちゃん」

ゆみが答えると同時に、エントランスのオートロックのドアが開いた。3人は、中に入って、奥のエレベーターに乗って14階まで上がる。

「ゆみちゃんの声だったね」

夕子は、インターホンから聞こえてきた声を懐かしそうに言った。

「こんにちは」

「朋子お姉ちゃん、こんにちは。いらしゃいませ」

「よっ、いらしゃい!」

玄関が開いて、背の低い小さな女の子が出てきた。その後ろには、反対に背が高い20代後半ぐらいの男性の姿があった。

「中へどうぞ」

男性がスリッパを出して、3人を部屋の中に招き入れた。

ワンワン・・・。

部屋の奥からしっぽを振りながらテリア系の犬が出てきた。

「あ、メロディ!あんたもまだいたの」

夕子は、飛びついてきたメロディの頭を撫でてやりながら答えた。

「あ、夕子。メロディのこと覚えていたんだ」

「ううん。今の今までぜんぜん忘れていた。でも、メロディの姿を見た途端に思い出した」

夕子は、朋子に答えた。

「それはメロディも同じようだよ。メロディも、ちゃんと夕子ちゃんのこと覚えているみたいだよ」

男性、隆がしっぽを振って夕子に飛びついているメロディの姿を見ながら答えた。

なつかしい話につづく

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