地下シェルターに避難している人たちは皆、少し浮かれていた。
なにしろ、イスカンダル星に行っていたヤマトが帰ってきたのだ。しかも、お土産というか、地球の放射能をきれいにしてくれるコスモクリーナーをイスカンダル星からもらってきてくれたのだ。そのコスモクリーナーを使って、既にヤマトが地球上の放射能をきれいに元通りにしてくれたというのだ。
これで、皆はまた地上に戻って、元通りの生活がおくれるのだ。
「よかったな。早く地上に戻りたいな」
「いつ、地上に戻れるのかしらね」
地下シェルターの皆は、笑顔で話していた。
「ゆみ、これで地上に戻れるよ」
「良かったな。地上に戻ったら、お父さんは、またうちの歯医者を復活させなきゃならないな」
ゆみのお父さんも、お母さんも笑顔で嬉しそうだった。もちろん、ゆみだって地上に戻れるのは嬉しかった。なにしろ、ヤマトが地球に帰ってくるまでの間、一年間もこのシェルターの中で、しかも狭いお父さんの車の中で暮らしてきたのだ。
「早く地上に行こうよ」
ゆみが言うと、
「順番があるからね、慌てなくても地上には戻れるんだから、係の人の指示に従って、順番に地上に戻りましょう」
お母さんは、ゆみに言った。
世界中の地下シェルター内で放送されているテレビ局のテレビでは、宇宙戦艦ヤマトが無事イスカンダル星 からコスモクリーナーをもらって帰ってきたことを報道していた。そして、ヤマトは、もらってきたコスモクリーナーを使って、既に地上の放射能を全てきれいに除去してくれたことも報道されていた。
地上は、放射能汚染が無くなって、人間は、いつでも地上に上がれる状態にあった。しかし、今の地上には、建物も道路も何もない状態だということも連日報道されていた。そのため、まずは地上で暮らすための建物や道路を復興しなければならないということも報道された。
「まずは、建築関係の人が地上に上がって、地上の大地を整備、整えてから、ほかの人たちは順番に地上に上がるようにですって」
「それは仕方ないわね。何もない大地に上がっても皆、暮らしていけませんものね」
人々は、テレビで報道されたことを口々に話していた。
役所の人間は、地下シェルターに避難してきた人たちの記録簿を確認しながら、避難前に建設関係の仕事をしていた人たちをピックアップした。まずは、その人たちを集めて、彼らを地上への先発隊として、地上に送り込んだ。
「おう、久しぶりの地上だな」
「ワクワクするよな」
地上への先発隊として選ばれた人たちは、興奮を隠しきれずにいた。役所の人たちの指示に従って、地上へのエレベーターを上がって地上に出た。
「うわー、久々の地上の空気だ!」
「気持ちいいな」
地上に出ると、皆は大きく息を吸って、久しぶりの地上の空気を満喫していた。
「しかし、何もないな。どこまでも荒れた大地が続いているだけだな」
地上に上がってきた先発隊は皆、口々に話していた。
「ここに、建物や道路を復興してもらいたい」
役所の人たちの指示で、先発隊の皆は復興作業を始めた。それぞれ所属の建設会社毎に別れて、担当の地域の道路や建物などを建設していた。
「建設ごくろうさまです。こちらは建設中の皆様の住まいとして、ご利用ください」
古代進や森雪など地上に残っていたヤマト乗組員たちが、作った簡易的な家は、建設作業員たちの仮住まいとして提供された。
「ぼくらは、皆さんのようにプロの建設業者ではありませんので、多少、家としては住みづらい点もあるかもしれませんが、仮住まいと思ってご了承ください」
古代進は、建設業者の人たちに話していた。
「いやいや、なかなか立派な家に出来上がっていますよ。多少、素人っぽい作りの部分はありますが、そこは俺らで修復しながら使わせて頂きますよ」
建設業者の人たちは、仮住まいを作っておいてくれたヤマト乗組員たちに感謝していた。
「私たちも、街作りで出来ることはなんでもお手伝いします」
ヤマト乗組員たちは、建設業者の人たちに言った。
「ぜひ、お願いします」
「我々も、一刻も早く街を完成させて、地下の皆、我々の家族皆も、地上に上がってこれるようにしたいですから」
それから建設業者とヤマト乗組員たちは、街の復興に勤めていた。
順番待ちにつづく