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少年盗賊団のリーダー

ゆみたちは、お店で食料とか盗むときに、あっちこっちの棚から分散してもらってきているために、お店の人にも盗まれたことを気づかれずに済んでいた。

たぶん、地上のお店で夜に忍び込んで盗んだりしていたら、次の日あっという間にお店の人に見つかっていたことだろう。いや、その前に侵入した時点で、お店のセキュリティのベルが鳴りだしてご用となっていたことだろう。

しかし、ここは物質の供給もままならない地下シェルターの中だ。お店だって、そんな防犯用のセキュリティまで設置できないのだ。目で見て、明らかに盗まれているとわかる状況にならなければ、なかなか盗まれていることを把握できないでいた。

それでも、少しずつ何回か盗みに入っているお店では、夜中に誰かが忍び込んで盗みを働いているのではないかと噂にはなりつつあった。

「うちのお店でも、なんか商品が減ったみたいなんだよな」

「うちもなのよ」

隣り同士のお店の店主が、話していた。

「なんか、夜中に逃げていく姿を見かけたって人の話では、犯人は子どもらしいって言うのよ。なんだかボロボロの服を着ていた子だったとか」

「うちもなのよ。やせ細った子どもたちだって言うから、なんか一生懸命に地下シェルターまで避難してきた子どもかと思うと捕まえるのがかわいそうになっちゃうわ」

そんな噂が、街では広がっていた。

「なんだか、その子どもの泥棒さんたちのリーダーは、小さな女の子みたいって話よ」

「なんかそうみたいね」

と、ゆみのことも噂になっていた。そして、いつからか、ゆみたちのことを街の人たちは少年盗賊団と呼ぶようになっていた。

街には、いちおう警察官と呼ばれる人たちはいるにはいたが、なにせ地上が宇宙人たちの攻撃で放射能に汚染され、その放射能がいつ、この地下シェルターにも入って来て汚染されないかもわからない状況なのだ。そちらの警備とかが忙しく、コソ泥などにかまっているヒマなどなかった。

「うちのお店も、鍵を取り換えたわ」

と、一回盗みに入られたお店では、用心のため、お店の鍵を取り換えたり、近所のお店と協力して、夜中に自衛でパトロールに周ったりはしていた。

「今日は、ここのお店ね」

ゆみの方も、なるだけ用心のため一度入ったお店には、何日も続けて入らないように、お店を変えるなど工夫していた。

カチャカチャ

ゆみは、いつものように自分の髪からヘアピンを抜くと、鍵穴に差し込み、グルグルと動かし、お店の出入り口の鍵を開ける。

「ゆみちゃん、鍵を開けるの上手になっているよね」

子どもたちは、ゆみがヘアピンで鍵を開けるのを見ながら言った。子どもたちの言うとおり、ゆみがヘアピンで鍵を開けるスピードは、日に日に早く開けられるようになっていた。開けるだけではない。盗み終わって、出てきたときも、まるでヘアピンが本物のお店の鍵であるかのように、カチャカチャと鍵穴に差し込んで、ドアの鍵をロックできるようになっていた。

それは、宇宙戦艦ヤマトがイスカンダル星に放射能除去装置を取りに出発した日から、3カ月経ったときのことだった。

ヤマトが地球を出発してから3カ月。つまり、その後ヤマトが地球に戻ってくるまでの9カ月という長い期間、少年盗賊団の子どもたちは、ずっとここの地下シェルターで、盗みに入るお店を転々と変えながら、食料を調達して生きていたのであった。

「向こうにおもちゃ屋とかあったぜ」

「明日は、おもちゃ屋に盗みに入ろうぜ」

子どもたちは話していたが、ゆみは決して子どもたちにおもちゃ屋へ盗みに入ることを許さなかった。おもちゃ屋だけではなかった。洋服屋にも、以前一回入ったきり、その後は盗みには入らせなかった。その一回に盗んできた洋服を、ゆみが糸と針で何度も縫い直して、ヤマトが戻ってくるまでの一年間の子どもたちの服として持たせたのだった。

両親のいない子どもたちに食料が供給されないのは、かわいそうだとは思ったが、今は地下に避難している身、食料を供給されている子たちだって、そんな贅沢な暮らしはできないのだ。少年盗賊団の子どもたちにも、ゆみは贅沢な物質の盗みを許さなかった。

その後は、食料を置いているスーパーやお店以外の盗みは一切働かなかった。

ヤマトの旅につづく

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