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放射能検査

「それでは、検査を始めます」

数日後、放射能検査の検査カー、小さなマイクロバスが駐車場にやって来た。

「まず、それじゃ、お父さん。男性から始めますか」

検査員に言われて、お父さんは、放射能検査の車の中に入った。

「なんでも無かったよ」

しばらくすると、お父さんは、検査カーの中から出てきて、お母さんたちに報告した。

「それでは、続いて女性の方どうぞ」

検査員は、車の中から女性の方を呼んだ。女性の方と言われても、ゆみとお母さんの2人しかいないのだけれども。ゆみとお母さんは、検査員に呼ばれて、車の中に入る。

「それでは、検査を始めますから、上半身はだかになってくださいね」

検査員の女性が、2人に指示をする。検査員の奥には、女医さんが腰掛けていた。

「上半身はだかといっても、ブラジャーぐらいなら、そのまま着けたままで大丈夫ですよ」

女医がつけ加えた。

ゆみとお母さんがはだかになると、

「それじゃ、まずは、お母さんの方から始めましょうか」

女医は、検査員に手伝ってもらいながら、お母さんの身体のあっちこっちに手にしているセンサーの機械を当てる。特に何も反応がないようだ。

「はい、大丈夫です。放射能汚染は、特にされていらしゃらないようです」

女医は、お母さんに報告した。

「ありがとうございます」

お母さんは、女医にお礼を言うと、脱いだ服を着た。

「はい、今度は娘さん。お母さんが大丈夫だったので、おそらく娘さんも特に汚染されているとは思えませんが、規則ですし、念のため確認させてください」

女医は、そう言うと、ゆみのことを自分の前にある椅子に腰掛けさせて、お母さんのときと同じセンサーの機械を、今度は、ゆみの身体に当て始めた。

女医は、何回かゆみの身体にセンサーを当て、さらに操作を繰り返した。

「あら、おかしいわね」

女医は、機械のメモリを読みながら、つぶやいた。

「あの、お母さん。娘さんは、避難の際にどこか放射能の多い場所、隕石が落ちた箇所とか、宇宙船と多く接触したとか、何かありませんよね?」

女医は、お母さんに聞いた。

「特には、そのようなところには行っていないと思いますが」

お母さんが女医に答えると、

「彼女の放射能の数値なのですが、異常に高い値なんですよね」

女医は、センサーのメモリを、お母さんに見せながら疑問に思っていた。

女医は、もう一度ゆみの身体にセンサーの機械を当てると、測定し直し始めた。

「うーん、放射能の数値が下がらない・・」

女医は、困った表情をしていた。

「あの、先生。もしかしたらなのですが」

お母さんが、女医に声をかけた。

「何か思い当たることがありますか?」

「ええ。思い当たると言いますか、ゆみなのですが、避難にしているときに、井の頭公園にいる動物が心配だからと動物園に行きたいと言い出しまして」

お母さんは、女医に話した。

「井の頭公園の動物園に連れていきましたら、例の、ガミラスの宇宙船を突然空から呼び出しまして・・」

「宇宙船に動物たちを乗せて避難させたとかですか」

お母さんの話を途中まで聞いた女医は、その先の話を推測した。

「ええ」

お母さんが女医に答えると、女医は検査カーに付いていた無線で、どこかに連絡を取って、話を聞いていた。

「ええ、そうですね。それでは除染をしまして・・」

女医は、無線の相手と話している。

「わかりました。そのように致します」

女医は、無線を切ると、

「やはり、その動物救出の際に、宇宙船と接触したときのことが原因のようですね。娘さんですが、その後にどこか体調が優れないとかありますか?」

「いいえ」

お母さんが答えると、

「いや、体調が優れないというか、逆に体調が良くなったということは?」

「そうですね。あの、ゆみなのですが、生まれつき病弱の子で走ったりすると、すぐ喘息が止まらなくなったりしていたのですが、ここに来て、なんかかなり元気になったみたいで」

「なるほどね。おそらく宇宙船内にあった放射能が体内に吸収され、放射線治療みたいな影響が起きて、体調が良くなった可能性があります」

お母さんに症状を聞いて、女医は答えた。

「ただ、そう断定はできませんので、地下シェルターに降りましたら、大きな病院で精密検査を受けてみられてください」

女医は、お母さんに言った。

「今は、彼女の身体の中の放射能を除染作業いたします。除染した後、完全に放射能が身体の中から抜ききれるまでに2、3週間ぐらい掛かります。それまでは、地下シェルターには、入れませんので、こちらで待機してもらうことになります」

女医は、お母さんに説明した。

「2、3週間経てば、今、前の方に並んでいる方たちは皆、エレベーターで地下シェルターに移動されると思いますので、順番はもっと先のほう、ここの階のさらに1階下のフロアまでは移動できると思いますので、より安全なところでの待機はして頂けるようにはなります。ご安心ください」

「2、3週間で除染が完了したかどうかは、どのように調べたら良いのでしょうか?」

「その辺は大丈夫です。1週間毎に、また我々検査カーが、こちらに上がって来ますので、そのときに検査を受けてください」

「わかりました」

お母さんは、女医に答えた。

さらに待機につづく

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