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宇宙船の襲来

「おい、動物たちの様子が・・」

お父さんは、動物たちの様子が変化しているのに気づいて、言った。

今まで、人間たちに置いてきぼりにされ、大声で泣き喚いていた動物たちが急に静かになった。そして、すべての動物たちの視線は、動物園の柵ギリギリまで近づいて来て、動物たちのことを見ているゆみの方に釘付けになっていた。

「ごめんね、なんとかして助けてあげるからね」

ゆみは、動物たちに話しかけていた。

「ゆみったら、一体どうする気なんだろう?」

お姉ちゃんは、言った。

ゆみは、動物たちのことをしばらく眺めていた。

「一緒に連れていってあげたいんだけど、お父さんの車じゃ、狭くて、皆のことを乗せられないんだよね」

ゆみは、動物園のゾウやキリンなど大きな動物たちを見ながら、言った。

「皆が乗って、地下シェルターまで行ける乗り物があったら良いんだよね」

そして、ゆみは、自分の右手を空に高く上げて、大空の先を指差した。

「おい、空のゆみの指差す方向を見てみろ!」

お父さんは、ゆみが指している先の空を見て、叫んだ。

空から2隻の宇宙船が、ゆみのいる方に向かって飛んで来た。緑色の金魚のような姿をした機体で、先頭部分にオレンジ色に輝く目のようなものが付いている。おそらくガミラスとかいう宇宙人の宇宙船だろう。

その宇宙船が、地上で手を上げているゆみの前まで降りて来た。

「ゆみ、宇宙人よ!早く逃げなさい」

慌てたお母さんが助手席から飛び出して、ゆみのところに行こうとする。

「待って!なんか違うぞ」

お父さんは、宇宙船の様子がなんか違うことを感じて、車を降りようとしていたお母さんのことを止めた。

2隻の宇宙船は、そのまま、ゆみの前まで降りてくると、地上の道路に着地した。

「降りて!」

ゆみは、両手を上げると、宇宙船の先頭、上部の辺りにあるコクピットのガラス窓のところを2本指で指差した。

と、突然、宇宙船のコクピットのガラス窓が中から割れると、ガラスの破片が真下の地上にバラバラと落ちた。そして、宇宙船の中にいた真っ青な肌の色をした宇宙人が何人かが、次々とその割れたガラス窓の中から地上に向かって落下し、そのまま動かなくなり亡くなった。

「これだけ大きな宇宙船ならば皆、乗れるよね」

ゆみは、動物たちに言うと、目の前の2隻の宇宙船を指差したまま、手を空に向かって上げた。すると、宇宙人が乗っていないはずの無人の宇宙船は、ゆみの手の動きに合わせて、また空に浮かび上がった。

ゆみは、手を動物園の上空に動かす。空に浮かび上がった2隻の宇宙船は、ゆみの手の動きに合わせて、動物園の上空に移動した。

「皆、これに乗って、地下シェルターに行きましょう。そうすれば安全だからね」

ゆみが言うと、宇宙船下部にある格納庫の扉が開いて、そこからオレンジ色の光が動物園に注がれた。その光の中を、動物たちが空中に上がって、宇宙船の中に入っていく。動物園のケージで、屋根が付いているケージの屋根に、オレンジ色の光が当たると、ケージの屋根が溶けてなくなり、開いた屋根から、中にいた動物たちが宇宙船へと上がっていく。

動物園にいた動物たちは、余裕で皆、2隻の宇宙船の中に入った。さらに、動物園に植わっていた植物たちも皆、オレンジ色の光の中を移動し、宇宙船の中に入った。

動物園にいたすべての動物と植物たちが宇宙船の中に入ると、オレンジ色の光が消えて、宇宙船の格納庫の入口が閉じ、宇宙船は空中に浮き上がった。

「宇宙船さん、皆を、安全な地下シェルターまで連れて行きなさい」

ゆみは、2隻の宇宙船に命じた。宇宙船は、ゆみに言われて、180度反転すると、地下シェルターのある新宿方面に向かって、飛び始めた。

「途中、他にも、この辺一帯には、武蔵野とか高尾山とか動物や植物たちが取り残されているところ、まだまだいっぱいあると思うから、その子たちも皆、同乗させて上げるのよ」

ゆみは、飛んでいく宇宙船に呼びかけた。

すると、飛び立った宇宙船が、2隻とも反転して、ゆみのところに戻ってくると、ゆみの目前の空中で停止した。

「どうしたの?」

ゆみが宇宙船たちに言うと、まるで宇宙船は、2隻だけじゃ、この辺りの全ての動物や植物を乗せきれないよと言っているようだった。

「それは、そうだよね」

そう言うと、ゆみは、また大空に向かって、両手を上げると、空中でぐるぐると両手を回した。

まるで、その合図で呼ばれたように、今度は、10隻以上の大量の宇宙船が地上に舞い降りて来た。その大量の宇宙船が、ゆみの前にある地上にずらっと並んで着地すると、またコクピットのガラス窓が割れて、中にいた宇宙人どもは、地上に落下し、動かなくなった。

宇宙人がいなくなり、宇宙船が無人になると、ゆみは宇宙船を指差していた両手を上にあげ、宇宙船を再度、空中に浮かび上がらせた。

「これだけ宇宙船の数があれば、全ての動物、植物を乗せられるよね」

ゆみが宇宙船に言うと、最初に降りて来た2隻の宇宙船は、満足したように反転し、東京近辺の動物、植物たちを救いに向かい出した。その後を、後から降りて来た宇宙船たちが追いかけていく。

「他の星を爆発とかさせて、反省しなさいよ」

ゆみが、後に地上に残った宇宙人たちの遺体に言うと、遺体は、地上の中に吸い込まれていき、代わりに地上にはお墓の十字架が現れた。

 

不思議な力につづく

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