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新宿の地下街

「さあ、出発するぞ!」

お父さんは、皆に言った。

「はーい!」

皆は、一夜を過ごした茶色い家で朝ごはんを食べ終え、家から出ると、車に乗り込む。

「今日こそは、地下シェルターに到着するからな」

お父さんが言った。

「ゆみも、いいな」

「うん」

お父さんに言われて、ゆみは頷いた。

お父さんが車のエンジンをかけ、発進させる。まずは、西荻窪から新宿に向かう大通りに出る。広い大通りなら周りが先の方まで見通せるので、新宿まで早くたどり着けると、お父さんは思ったのだった。

「なんだ!これは」

大通りに出た途端、お父さんは絶句してしまった。

道が広いと思っていた大通りが、車の渋滞で道が塞がり、お父さんは、車を走らせることができなかった。

いや、皆が走っていて渋滞しているのならば、お父さんだって渋滞の後ろについて順番に並んで新宿へ向かうのだったが。大通りに渋滞している車は、トラックも、バスも、乗用車も皆無人の状態で、道に停車していた。大通りの先の方では、大型のダンプカーとバスが接触した状態で停まっていた。おそらく信号機も付いていない道路で、接触事故などで渋滞してしまい、どの車も動けなくなって、乗員は皆、車をその場に見捨てて、徒歩か何かで新宿に避難してしまったのだろう。

「どうするの?」

お母さんは、お父さんに聞いた。お母さんは膝にゆみを乗せて助手席に座っている。

「どうするも何も・・。大通りが走れないなら、脇道から新宿に向かうしかないだろう」

お父さんは、そう言うと、車を反転させて、1本入った通りを使って、新宿を目指して走り出す。

「新宿までちょっと時間が掛かりそうね」

祥恵は、後ろの席から運転しているお父さんに話しかける。

「まあな。でも、まだお昼前だし、脇道を通ったとしても、お昼過ぎには新宿に到着できるだろうよ」

お父さんは、言った。

脇道は、特に車道に乗り捨てられた車もなく、スイスイと順調に走れていた。

「1本入っただけだけど、この道の方がぜんぜん空いているな」

「皆、脇道の存在を知らなかったのかな?車を乗り捨てなくても、大通りを避けて走れば良かったのにね」

祥恵は、大通りに乗り捨てられた車のことを思い出して、言った。

「皆、焦っていたのかもしれないな。あるいは、その時の状況では、脇道なんかに車を移動させられるような状況では無かったのかもしれないしな」

お父さんは、車を運転しながら言った。

 

「お父さん、後ろ!上空を見て!」

車が新宿の交差点のところまでやって来た時に、祥恵が、運転しているお父さんに向かって叫んだ。その声に、お父さんは、バックミラーと車のサンルーフから後部、上空を確認する。

そこには、ガミラスの宇宙船の姿があった。

「あれって、宇宙人の宇宙船!」

「ああ」

お父さんは、思わず助手席のお母さんの膝の上にいるゆみの姿を確認した。ゆみは、宇宙船のことなんかぜんぜん知らないようで、お母さんの膝の上で眠っていた。

「ゆみが呼んだわけじゃなさそうだな」

「どうする?」

と言われても、今は出来るだけ早く新宿の地下街、シェルターに避難するしかない。お父さんは、少しアクセルを踏んで、地下街を目指す速度を少し上げた。

ドバーン!

突然、上空のガミラスの宇宙船が、お父さんの車に向かって、射撃してきた。宇宙船の射撃は、お父さんの車をわずかにかすめて、その先の道路に穴を開けた。

「おいおい、マジかよ」

お父さんは、慌てて車のスピードをさらに上げて、上空の宇宙船から逃げる。その逃げるお父さんの車を、上空の宇宙船は追いかけて来て、またさらに射撃をして来た。

ドバーン!

今度は、宇宙船の射撃は、道路脇のコンクリートの建物に当たった。射撃された建物は、音を立てて崩れた。その音に、お母さんの膝で眠っていたゆみも目覚める。

さよなら、お姉ちゃんにつづく

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