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波乱万丈な学園生活

今日から宇宙戦士訓練学校の初日だった。

ゆみは、朝早くから少しワクワクしていた。なにしろ久しぶりの学校だった。ガミラスが地球に遊星爆弾を落としてきて、その落ちてくる遊星爆弾を、ゆみは学校の教室の窓から発見した。そのとき以来の〝学校〟だった。

「腕は、ちゃんと隠れているよね」

ゆみは、自分が長袖のトレーナーに薄手の長袖カーディガンを着ていて、両腕がほかの人からしっかり見えないことを確認してから、1丁目地下の下水道から表の道路に出た。

ゆみは、本来は貧民なので、学校になんか通えないはずだった。それが、ちょっと風変わりなお医者さんの佐渡酒造先生と出会えて、その先生のおかげで、宇宙戦士訓練学校とはいえ、学校に通えることになったのだった。せっかくの、このチャンスを不意にはしたくない。そのためには、佐渡酒造先生に言われた、学校では自分が貧民であることは絶対にばれてはいけないということを、しっかり守られなくてはならなかった。

「よし、頑張るぞ」

ゆみは、心の中で自分に気合いを入れて、学校の教室に向かった。

宇宙戦士訓練学校では、2年間のカリキュラムが組まれていて、その2年間の中で、高等教育の一般科目と宇宙戦士になるための学科、実技教習が実施されていた。2年間の教育を卒業した学生は、宇宙戦艦ヤマトなどの戦艦に配属になるものが主だったが、他にも防衛省をはじめとする省庁に勤務するものもいた。

特に、今年の新入生は、白色彗星との壮絶な戦いから帰還した宇宙戦艦ヤマトの新たな乗組員補充という目的で集められた学生が大半だった。皆、あのヤマトの乗組員になれるという目的で入学してくる学生が多かった。

今年の新入生の中で、もっとも注目株なのは、元ヤマトのコスモタイガー隊員の加藤三郎の息子で加藤四郎、それから坂本という男性2名だった。彼らは、将来のヤマトの有望なコスモタイガー隊員として、有名校からスカウトされてきたエリート中のエリート学生だった。彼ら以外にも有名校からスカウトされてきたエリート学生は数名いて、彼らはいつも学校のクラスでもリーダー的存在で、一緒につるんで行動していた。

ほかには、お蝶婦人と呼ばれる彼らと同じく有名校からスカウトされてきた女性がいた。彼女は某有名女子校出身で、スカウトされた際に、女子校で仲良かった数名と一緒でなければ入学しないとスカウトマンに言って、仲の良かった数名とともに訓練学校に入学してきていた。

加藤四郎は、元ヤマトのコスモタイガー隊員の加藤三郎の息子ということで、クラスでもいつも華のある存在だった。それに比べて、徳川太助はクラスでも地味な存在だった。身内が元ヤマト乗組員ということであれば、徳川太助も、おじいちゃんは元ヤマトの機関長である徳川彦左衛門なので、華としては申し分ない立場のはずだったのに、そのスタイルは短足でデブ、しかも極度の運動音痴で体育の授業なんかでは、常にモタモタしていて、チームでの競技ではいつも皆の足を引っ張っている。おまけに性格は地味ということでクラスでもパッとしない存在だった。

「なんだ、このブス。汚えな、近づくなよ」

そして、肝心のゆみのクラスでの評判はどうかと言えば、佐渡先生の力で学校に通わせてもらえているとはいえ、貧民街に暮らす貧民なのだ。きれいな洋服なども持っていず、もう何年も着古したボロを身につけている。おまけに夏でも常に左腕を隠すためにボロボロに繕った長袖を着用している。

「うわ、汚え!一緒に乗るなよ、エレベーターに」

学校のエレベーターで坂本たちのグループと一緒になると、ゆみが、よく坂本たちから浴びせられている言葉だった。

普通なら、ブスとか汚えとか言われたら、女の子として落ち込んでしまう子もいるだろうが、ゆみは逆にそれを幸運と思っていた。なので、長い髪を常に下ろして、前髪も自分の両目が塞がってしまうぐらいまで下ろして、余計に自分に不気味でブス感を醸し出させていた。そうすることで、坂本たちや同じクラスの子たちを自分に近づいてこさせないように振る舞っていたのだった。

孤立してクラスの子たちが、自分に近づいてこないでくれれば、それだけ自分が貧民だとばれてしまう確率だって低くなるだろう。

この宇宙戦士訓練学校は、他の学生たちにとっては宇宙戦艦ヤマトの乗組員になるための大切なステップかもしれないが、ゆみにとっては大学の医学部に入学するためのただのステップに過ぎないのだ。この学校の学生、教職員とはなるだけ距離をおくようにしよう。そう、ゆみは心に決めていた。

いじめっ子につづく

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