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佐渡先生の助手

「ゆみちゃん!ただいま!」

森雪は、自分の部屋に戻ると、部屋で待っているゆみに声をかけた。

「ほら、お土産のごはんだよ」

森雪は、食堂のお母さんからもらってきたお弁当の入った袋を見せながら、話した。

「どうしたの?」

森雪は、船室の窓から外を眺めているゆみの側に来て、言った。

「空を飛んでいる・・」

「うん。空というか、もう大気圏の外に出ているから、宇宙を飛んでいるのよ」

森雪は、ゆみに答えた。

「さあ、ごはんを食べよう」

森雪は、テーブルの上にお弁当を出すと、その両脇に椅子を並べて、片方にゆみのことを座らせた。

「あたし、食べない」

「どうして?もしかして、地球の貧民街に残っている子たちが食事してないから、自分も食べないとか思っている?」

森雪は、ゆみに聞いた。ゆみは、黙って頷いた。

「でも、テストセーリングの間じゅう、ずっと何にも食べないわけにはいかないでしょう。それに貧民街の人たちだって、ゆみちゃんが食料の調達の仕方と分け方を少年盗賊団の子たちに指示してきたんでしょう?それだったら、貧民街の皆だって、ごはんはちゃんと食べれているでしょう」

森雪が言うと、ゆみは小さく頷いた。

「とりあえず、一口でも良いから食べてみて」

森雪に言われ、ゆみは、目の前の食事を一口だけ食べてみた。

「え?」

その一口を味わってから、ゆみはもうさらに一口を口に入れた。さらにもう一口と箸が進んでいた。

「お母さんのごはんの味がする」

ゆみは、不思議そうにいま食べた食事を思い返していた。

「だって、ゆみちゃんのお母さんのごはんだもの」

森雪は、自分もお弁当を食べながら、ゆみに言った。

「えっ、なんで?」

「佐渡先生がね、いろいろと悪知恵を働かせてくれて、ゆみちゃんのお父さんとお母さんのことをヤマトに乗せてくれたの。ゆみちゃんが、もし貧民であることをばれちゃったりしたときでも、お父さんとお母さんが側にいたら安心でしょう?それで、佐渡先生がちゃんと考えてくれたのよ」

「佐渡先生、とってもいい人・・」

ゆみは、森雪から話を聞いて、小さくつぶやいた。

「うん、そうだね」

「ううん、佐渡先生だけじゃない。古代進さんって艦長代理も、あたしのことを考えてくれていたんでしょう?とてもいい人・・」

「そうね。古代君もいい人よ」

森雪が、ゆみに言うと、ゆみは少し笑顔になって森雪に言った。

「古代進さんって、お姉さんの恋人なの?」

「えっ、そう、そうね。私の恋人、恋人というより婚約者かな。今度、結婚しようってことになっているの」

「そうか・・」

ゆみは、ちょっと赤くなっている森雪の顔を見ながら答えた。

「いい人の古代進さんの結婚する人なら、お姉さんもきっといい人だよね」

「そうね」

森雪は、ゆみに言われて微笑んだ。

「お姉さんのことは、森とか雪って呼んでくれてもいいよ」

「雪さん・・」

ゆみは、森雪の名前を呼んでみる。

「はーい、何ですか?」

森雪は、ゆみに呼ばれて返事した。

2人は、お母さんからもらってきたお弁当をぜんぶ食べてしまうと、デザートに、イチゴ大福を頂いた。ゆみは、地下シェルターに避難する前、東松原に住んでいた頃以来のイチゴ大福であった。普通に食事にありつけるだけで、精一杯でデザートなんて全く食べられなかったのだった。

「さあ、ごはんも食べたし、少し休憩もしたから、生活班のお仕事をしに行こうか」

森雪は、ゆみを誘って部屋を出た。

「どこに行くの?」

「佐渡先生の医務室」

「佐渡先生・・」

ゆみは、森雪から佐渡先生と聞いてなんとなくホッとしていた。

「私たち生活班のお仕事の大半は、ヤマトで戦った宇宙戦士の人たちが怪我をしたときに、手当てをしてあげること。だから、ヤマトの宇宙戦士がいつ怪我をしても良いように、日頃から医務室の診察とかがしやすいように整理、準備しておくのよ」

森雪は、ゆみに説明した。

「言ってみれば、佐渡先生、佐渡酒造医師のお手伝い、助手ね」

そう言って、森雪は、ゆみを連れて、ヤマトの医務室に向かって歩き出した。

医務室につづく

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