放射能で水が干上がってしまっていた海にも、水、海水が戻ってきていた。
今、ヤマトは、海際に丸太をくくりつけて簡易的に作ったポンツーンに舫われて、回復した地球の海の海面にゆらりゆらりと浮かんでいた。
「こんな幸せそうに、のんびり水に浮かぶヤマトの姿は初めて見るな」
「本当にね、今まではガミラスとの激しい戦いばかりだったものね」
海上に浮かんでいるヤマトの姿を、陸から眺めながらヤマト乗組員たちは話していた。
「祥ちゃんは、これからどうするの?」
「私ですか。私は、これから一端、新宿の地下シェルターに降りて、家族を迎えに行きます」
祥恵は、森雪に聞かれて答えた。
「そうか。これから家族探しか、大変だね。見つかるといいね」
「ええ。でも、見つかりますよ。必ず」
祥恵は、森雪にはっきりと断言していた。森雪は、そんな祥恵の姿に黙って頷いていた。
「それじゃ、皆ちょっと集まってくれ」
古代進が、ヤマト乗組員たちを集めた。
ヤマトが地球の近くまで戻ってきたところで、沖田艦長は亡くなってしまったので、今は古代進がヤマトの艦長代理として勤めていた。
「イスカンダル星からコスモクリーナーも持って帰ってこれた。ガミラスとの戦いにも勝利できた。そして、地上の放射能を全て除去することもできた」
皆に報告している古代進の表情も晴れやかだった。
「これで、一通りヤマトの役目は終わった。皆も自由だ。地球に家族を残して旅立った者たちは、家族の元へいって久しぶりの家族との再会を楽しんでくれ。それでは解散」
古代進が言って、ヤマト乗組員たちは、皆と解散し、それぞれ地球に残してきた家族の元へと向かった。
「家族に会える・・」
祥恵も、新宿の地下シェルターに向かって急いでいた。
「祥ちゃん、家族と会えるといいね」
そんな祥恵の後ろ姿を眺めながら、森雪は古代進に言った。
「ああ」
「古代君は、どうするの?」
「俺か、地球に残してきた家族は誰もいないし、兄貴は、イスカンダル星でスターシャと仲良く暮らしているだろうし」
古代進は、ちょっと寂しそうに答えた。
「島君はどうするの?」
出かける荷物をバッグにまとめていた島大介に森雪は聞いた。
「ああ、俺は、地球に弟を残してきているから、まずは弟のところに行くよ」
島大介は、バッグの蓋を閉めると、森雪に返事した。
「それじゃ、俺も行くよ」
荷物を持った島大介は、古代進と森雪に答えると、弟のいる地下シェルターに向かって歩き出した。
「俺は、会える家族もいないし、地上に残って、地下シェルターから上がってきた人たちがすぐに暮らせるように、簡易的な家でも作っているよ」
古代進は、スコップを片手に森雪に言った。
森雪は、そんな古代進の後についていき、自分もスコップ片手に、古代進が作る家作りの手伝いを始めた。
「私も、特に地球に残してきた家族はいないからね。手伝うわよ」
「ああ」
2人は、これから地下シェルターから上がってくる人たちのための家作りをしていた。
地上へにつづく