BREAKING NEWS

新しい家

ゆみたちは、丘の麓のところにやって来ていた。

ゆみは、麓にくる手前にあった畑の納屋で、スコップとか鍬を持参して来ていた。

「このスコップとかはね、後で使い終わったら、ちゃんと納屋に戻すのよ」

ゆみは、スコップを持っている子どもたちに教えていた。

「で、これでどうするの?」

子どもたちは、ゆみに聞いた。

「あそこを見て」

ゆみが、指差す方向を見ると、そこには、以前、クマでも住んでいた巣の後なのだろうか。岩山のところに、小さな穴が開いていた。ゆみは、その穴の入り口のところに移動した。

「うわ、なんか狭いけど、ほら穴になっている」

子どもたちは、穴の入り口からほら穴の中へと進んでいく。10メーターも進むと行き止まりになっていた。

「行き止まりだよ」

「うん。でも、その先は岩でなくて土が埋まっているだけでしょう」

ゆみは、穴の先をコツコツとスコップの先で叩いてみながら言った。

「大きな子たちなら、ここをスコップで掘れるよね?」

ゆみは、子どもたちの中で年長組の子たちに向かって言った。

「ここの先をずっと掘って、まあるく広いお部屋を作りましょう」

「わかった!」

年長組の子どもたちは、ゆみに言われてスコップで掘り始めた。年少組の子どもたちも、お兄さん、お姉さんたちのマネをしてスコップで掘ろうとしていた。

「いい、ここは通路が狭くて、あんまり大勢で掘ると、かえって作業性が悪くなってしまうからね。ここを掘るのは、体が大きくて力のある子たちに任せましょう」

ゆみは、そう言うと、体の小さい子たちを連れて、表に出た。

「僕らは、掘らないの?」

ゆみについて出て来た子たちが、ゆみに聞いた。

「あなたたちには、別のお仕事があるの」

ゆみは、ほら穴の入り口で皆に言った。

「ここの入り口のところに花壇を作るから、あっちこっちからお花とか木々を掘って、持って来ててくれる」

「はーい!」

子どもたちは、ほら穴の周辺の森に咲いている花とか木々を集めにいった。

「いい、花とか木は、ちゃんと土を掘って、根っこも一緒に持って来るのよ。必要なのは切り花じゃないから、根っこも付けたまま集めてきてちょうだいね」

花や木を集めにいく子どもたちの後ろから、ゆみは大声で声をかけた。

「あと、竜。あんたはさ、納屋の向こうのところに古くなって使われなくなった木製の扉が捨てられていたでしょう。あれを、ここまで持ってきて」

ゆみは、竜に命令した。

「え、なんでだよ。あれ、かなり重いぞ。あんなボロっちい重たいものを俺1人で持ってこいって言うのかよ。あんなもの持ってきたって使いものにならないだろう」

「あんただって、男の子でしょう。文句を言わずに黙って取ってくる!」

ゆみに命令されて、竜はブツブツ言いながらも渋々と納屋に戻っていった。

 

ゆみは、花や木を集めにいった小さい子たちの後を追いかけていくと、小さい子たちが花や木を集める手伝いをしていた。

「こんなのでいい?」

「うん。十分よ。そしたら、お花さんが痛いって言わないように、そっと木の周りを掘って、根っこも含めて上手に土から掘り出したら、ほら穴の入り口まで運びましょう」

ゆみは、皆と土を掘って、花や木を地面から掘り出した。

「さえちゃん、さえちゃんたちは、あっちに植わっているあの木を掘って持ってきてくれる」

「はーい」

さえちゃんたちのグループは、ゆみに言われた木を掘りにいった。

ゆみたちは、ほら穴の前に持ってきた花や木を、ちょうどほら穴の入り口が隠れるように一列に植え始めた。

「花壇にするんじゃないの?」

子どもたちが、ゆみに聞いた。

「うん。花壇にするよ。ほら穴の入り口がわからないようにね」

ゆみは、いたずらっぽく子どもたちに微笑んだ。

子どもたちが、ほら穴の前、入り口がわからないように持ってきた花や木で隠し終わった後に、竜が納屋の向こうに捨ててあった大きな重たい扉を担いで戻ってきた。

「あれ、確かここら辺だったのにな」

竜は、大きな扉を担いだまま、ほら穴の入り口がわからなくなって迷っていた。

「おーい!お前ら、どこにいる!?」

竜は、適当なところに向かって、大声で叫んでみた。

「竜、皆ここにいるよ」

木々の中から、あゆみが返事した。

「なんだよ。木がいっぱいでほら穴の入り口がわからないじゃないかよ」

竜は、木々をかき分けながら、大きな扉を持って入口のところに入ってくる。

「ほら、持ってきたぞ」

竜は、ゆみの姿を見つけて言った。

「ご苦労様。それじゃ、その扉をここに立てかけて」

ゆみは、ほら穴の入り口を指差して言った。竜が入り口に扉を置くと、ゆみは、扉の上に入口の大きさに合わせて線を引いた。

「あっちゃん、この線の通りに扉をのこぎりで切ってくれる」

「はーい」

あっちゃんが、のこぎりで扉を切ると、扉は、ほら穴の入り口にぴったし収まった。ゆみは、拾ってきた蝶使いで扉の端とほら穴の入り口を取り付けた。

「あ、ドアができた!」

それを見て、子どもたちは一斉に叫んだ。

「今日から、ここがあなたたちのお家だから!」

ゆみは、皆に言った。

新しい生活につづく

Related Post