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ラーメン先生

ゆみが、お姉ちゃんの席に座っていると、40代ぐらいの男性が教室に入ってきて、黒板の前にある教壇に立った。その男性が、教壇の前に立つと、今まで教室のあっちこっちで大声でおしゃべりしていた生徒たちが、一斉に自分の席についた。

お姉ちゃんも、ゆみのことを席に座らせると、自分は席を離れて、教室の後ろのほうにいた女生徒たちと大声でおしゃべりをしていたのだった。男性が教壇の前に立つと、お姉ちゃんも、ゆみの横の自分の席に戻ってきていた。

「それでは、ホームルームを始めます」

その男性は、クラスの生徒たち皆に言った。

「まあ、この中で半分ぐらいの生徒は、小等部から私と一緒に進級してきた生徒だから、君たちには改めて自己紹介することはないだろう」

その男性、1組の担任らしい先生は話した。

「でも、あとの半分の生徒さんは、中等部から初めて明星学園に入学してきた生徒さんで、まだ私のこともご存知ないだろうから、自己紹介させてもらいます」

そういうと、その男性は、黒板に自分の名字を書いて自己紹介した。

「ちょっと汚い字で悪いけど、みな読めるかな?」

先生は、皆に聞いた。
先生の字だが、ちょっと汚いどころではなかった。かなり汚く、という独特な字で、ゆみにもぜんぜん読めなかった。

「佐伯と読みます」

先生が口で名前を言ってくれても、まだ黒板の字を「佐伯」とは読めなかった。その代わりに、先生の頭、髪だけは、とてもインパクトのある髪型で、ゆみの頭の中にもすぐにインプットできた。

佐伯先生の頭、髪型は、別に美容院でパーマをかけているわけではないらしいのだが、天然で髪の毛1本1本がクルクルと巻かれていて、その髪が頭の上で、まるでキノコのようにまるく盛り上がっていた。まるで、頭の上にラーメンが乗っかっているみたいだなと、ゆみが先生の頭を眺めながら思っていると、

「この髪のおかげで、小等部から一緒の生徒たちからは、ラーメン先生と呼ばれています」

と、先生が自分から皆にあだ名を披露していた。

「私は、皆さん1組の担任と現代国語、現国の授業を担当します」

先生は、皆に明日から始まる授業のカリキュラムと学校の年間行事スケジュールについてを説明した。

「あ、最後に、後ろに立っている女性の先生を紹介します」

先生は、教室の後ろに立っていた女の先生のほうを指さした。

「1組の副担任を担当する松崎先生です。彼女は、今年、大学を卒業したばかりの新人の先生です。僕の担任業務のサポートとかをしてくれると思います。あと授業の教科は、英語を担当します」

佐伯先生からの紹介を受けて、

「松崎といいます。まだ新人で至らないところもあって、皆さんに迷惑をかけてしまうこともあるかと思いますが、よろしくお願いします」

松崎先生が、教室の後ろから生徒たち皆に挨拶した。

「それでは、ホームルームはこれで終わります。明日からは、ちゃんと普通に授業が始まりますから、きょうは午前中で終わり、家に帰って、明日からの授業に備えてゆっくり休んでください」

先生は、持ってきた出席簿とか書類をバッグに仕舞うと、副担任と一緒に教室から去ろうとしていた。

「え、部活の説明は・・」

教室の中央付近の席に座っていたスラリとして背の高いイケメン風の男子生徒、佐藤君が去ろうとしている先生を呼び止めた。

「あ、そうそう。午後から体育館で、中等部の先輩たちから部活、クラブ活動の勧誘、説明会があるそうなので、興味のある人は参加してみてください」

先生は、教室の皆に伝えた。

「佐藤は、部活やるのか?どこの部活をするか決めているのか?」

「はい、バスケです」

先生に聞かれて、佐藤は元気よく答えた。

「良いんじゃないか。ほかの皆も、クラブ活動に興味あるのだったら、午後から話だけでも聞きに行ってみるといいですよ」

そういうと、先生は今度こそ副担任の松崎先生と職員室に戻っていってしまった。

「もう帰ってもいいの?」

「入学式は午前中だけだからね」

ゆみに聞かれて、お姉ちゃんが答えた。

「帰ろう」

ゆみは、お姉ちゃんの手を握った。お姉ちゃんも、ゆみの手をつなぎかけたが、

「祥恵!午後から説明会出るでしょ。今のうちに、どっかでお昼食べておかない?」

教室の後ろのほうの席の女の子に、お姉ちゃんは声をかけられた。

「そうだね」

お姉ちゃんは、声をかけられた女の子に返事すると、ゆみの手を引いて、教室の外にいたお母さんのところに移動した。

「私、午後から部活の説明会に出るからさ。お母さん、ゆみと一緒に帰ってあげてくれる?」

お姉ちゃんは、ゆみのことをお母さんに渡して、声をかけられた女の子たちとどこかにお昼を食べに行ってしまった。

ママとお昼ごはんにつづく

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