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なぞの隕石

ゆみは、幸せを噛みしめていた。

4月の中等部の入学式を終えて、5月になって季節は陽気もポカポカしてきた。

教室でのゆみの席は、窓際だったので、余計に陽射しがポカポカしていた。

今は、現代国語の授業中だった。

教壇では、先生が現代国語の授業をしていた。

ゆみの名字は、「今井」なので前から3番目の席だ。

前から2番目には、同じ「今井」の大好きなお姉ちゃんが座っていた。

小等部の頃は、毎日、朝晩の通学はお姉ちゃんと一緒に学校へ通っていたが、学校へ着くと、お姉ちゃんはお姉ちゃんのクラス、ゆみはゆみのクラスで別々の授業を受けていた。

それが、飛び級で中等部に進学してからは、朝晩の通学の時だけでなく、学校に着いてからも、大好きなお姉ちゃんと同じ学年、クラスで一緒に授業を受けられるのだ。

しかも、お姉ちゃんの席は、ちょうどゆみの席の目の前。授業中、教壇で授業をしている先生の姿を見ながら、前の席を見ると、そこには、ゆみの大好きなお姉ちゃんがいるのだ。

これが幸せでなくて、何が幸せといえるのだろうか。ゆみは、そんなことを考えながら、ポカポカの日差しが降りそそいでくる窓の外を、ふと眺めた。

「あ、お姉ちゃん!」

ゆみは、窓の外、遠くの武蔵野の山に向かって、空から降ってくる大量の隕石を発見して、思わず授業中だったことを忘れて、大声でお姉ちゃんを呼んだ。

「ちょっと、ゆみ。授業中だよ!」

前の席のお姉ちゃんが、ゆみの方に振り返って言った。

ゆみに呼ばれたお姉ちゃんが振り返るのはもちろん、ゆみの大声に、教壇の先生も、教室にいたクラスの皆も、ゆみの方に振り返っていた。

授業中に大声を出したゆみのことを、お姉ちゃんは睨んできたが、ゆみは、窓の外の武蔵野の山に降ってくる大量の隕石を指差していた。

「なんだよ!あの隕石は」

教室の中央付近の席に座っている背の高い男の子、佐藤くんも、ゆみと同じに窓の外に見える空から大量に降ってくる隕石を見つけて叫んでいた。

「なんだ、あれは」

教壇で授業をしていた先生も、窓のところにやって来て、空から降ってくる隕石の姿を見ていた。他の生徒たちも皆、今は窓の側にやって来て、空から降ってくる大量の隕石を見ていた。

「ちょっと、先生は職員室に行って、あれが何なのか情報を確認してくる」

先生は、教室から職員室に行くために、教室のドアを開けて、出かけようとしていた。

「いいか。君たちは皆、先生が教室に戻ってくるまでの間、ここに、教室に待機していなさい。なんかあったらいけないから、教室から外に出るんじゃないぞ!この部屋の中にいなさい」

先生は、生徒たちにそれだけ言うと、職員室に行くために、教室を出て行った。

普段の授業中だと、授業の途中で、先生がどこかに出かけてしまうと、生徒たちは皆、それぞれにお友だちとおしゃべりを始めたり、中には、教室から出て、廊下でキャッチボールを始めてしまう生徒もいた。しかし、さすがに今は、隕石が大量に空から降ってきているのだ。生徒たちの間でも、緊急事態だということは理解できるようで、誰も教室から外に出る人はいなかった。それどころか皆、黙って静かに先生が戻ってくるのを待っていた。

「お姉ちゃん」

ゆみは、不安そうに窓の外の隕石を眺めながら、お姉ちゃんの横に来た。

「大丈夫だから。先生が戻ってくるまで、おとなしく待っていよう」

お姉ちゃんは、ゆみの手をしっかり握ってくれていた。

緊急避難活動につづく

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