今井ゆみ X IMAIYUMI

多摩美術大学 絵画科日本画専攻 卒業。美大卒業後、広告イベント会社、看板、印刷会社などで勤務しながらMacによるデザイン技術を習得。現在、日本画出身の異色デザイナーとして、日本画家、グラフィック&WEBデザイナーなど多方面でアーティスト活動中。

6 ジョー君ママ

校長先生の長い挨拶が終わり、教頭先生の、校長先生の長い挨拶に負けず劣らずな、長い挨拶も終わって、入学式は無事終わった。

「これで入学式は終わりです。後ろの席の父兄の皆さんから順番に体育館を退出ください。新入生の皆さんは、この後は、担任の先生からホームルームがありますので、それぞれの教室に戻ってください」

入学式が終わると、体育館じゅうに聞こえるぐらいの大声の、案内の放送が流れた。

「ゆみ、入学式が終わったから、新入生は教室に戻って、ホームルームですってよ」

お母さんは、自分の横にべったりくっついているゆみに言った。

「お母さんは?」

「お母さんは、新入生じゃないもの。このまま帰りますよ」

「お母さんも一緒に教室に行こうよ」

ゆみは、お母さんにお願いした。

「こんにちは、お姉ちゃんかお兄ちゃんの入学式を見に来たのかな?」

ゆみとお母さんが話していると、その背後から、入学式の間、お母さんの隣りに腰掛けていたおばさんが声をかけてきた。

「お姉ちゃんも入学式なんだけど、ゆみちゃんも入学式で、新入生の当事者なのよね」

お母さんが、隣りにいた声をかけてきたおばさんに返事した。

「あら、お嬢さんも中学の7年生なの?」

隣りのおばさんは、少し驚いたように、ゆみに声をかけた。

「背は小ちゃいけど、今日から中学生ですって答えなきゃ」

お母さんに言われて、ゆみは、おばさんの方に黙って頷いた。

「父兄席に、お母さんと一緒に座っているから、てっきりお姉ちゃんの入学式を見に来たのかと思っていたわ」

「違うのよね。本当は年齢的には小等部の1年生になるはずだったんだけど、向こうの学校で、飛び級で中学生になれちゃったのよね」

「あら、すごい!それじゃ、勉強ができるんだ!頭いいのね」

お母さんが、おばさんに説明すると、おばさんは、ゆみの頭を撫でてほめてくれた。

「お母さんは、生徒さんたちは前の席なのだから、前の席に行きなさいって言ったのに、甘えん坊でお母さんの側から離れられなかったのよね」

お母さんは、隣りのおばさんとすっかり仲良くなって話し込んでいる。

「甘えん坊なんじゃなくて、中学生のお兄さん、お姉さんたち皆、身体が大きいからちょっと怖くなっちゃったのじゃないかしら」

おばさんが、ゆみのことを弁護してくれた。

「おばさんとお母さんで、教室の途中まで一緒に行ってあげるから、そしたらその先は1人でも行けるわよね」

ゆみは、嬉しそうにおばさんに頷いた。そして、ゆみと、お母さんと、おばさんの3人で体育館を出ると、中等部の校舎がある方に向かって歩き出した。

「ちょっと待って」

職員室の前を通ったとき、職員室の中に誰か知り合いを見つけたらしく、おばさんが、ゆみたち2人を呼び止めて、立ち止まった。

「ジョー、ジョー」

おばさんは、職員室のコピー機で何かをコピーしている中学生に声をかけた。声をかけられた中学生は、おばさんの方へ振り向いた。

「きょうから中等部の新入生で、うちの息子です。だから、ゆみちゃんとも同級生になるんじゃないかしら」

おばさんは、ゆみとお母さんに自分の息子のことを紹介した。その中学生は、髪がボブのように丸く伸びていて、その伸びた髪は天然パーマでチリチリな感じになっていた。

「ゆみちゃんって言うのよ。彼女すごいんだから、本当は小等部の1年生なのに飛び級で、きょうからあなたと同じ中等部の同級生になるんですってよ」

おばさんの息子、その中学生は、ゆみたち2人の方に頭を下げて会釈した。

「あら、お坊ちゃんだったの。お嬢さんかと思ってたわ」

ゆみのお母さんは、その中学生の顔を覗きこんで言った。

「いいのよね。名前はジョーだから、おジョーさんだものね」

おばさんは、ゆみのお母さんに笑って答えていた。

「ねえ、ジョー。ちょうど良かったわ、ゆみちゃんと一緒に教室まで行ってあげてよ」

おばさんは、自分の息子のジョーに指示していた。

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