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氷の惑星

「ちょっと待っててね」

森雪は、ゆみに言ってから船室を出た。

「あのさ。相原君、お願いがあるんだけど・・」

森雪は、廊下の通信設備を使って、第二艦橋の通信班、相原と話していた。

「何でしょう」

「あのね、ほんの少しで良いんだけど。ヤマトの船首を冥王星のほうに近づけてもらえないかな。ううん、今、航行しているヤマトを冥王星のすぐ脇を通るように操船してもらえないかな」

「はあ、ただ、僕は通信班なので、ヤマトのステアリングを握っていないし、航海長に聞いた方が良いかと」

相原は、森雪に答えた。

「ちなみに、なんでヤマトを冥王星の近くに飛ばしたいのですか?」

「え、あのね。ちょっと冥王星の地面、地上の様子を船室の窓から確認したいのよ。ほら、冥王星ってさ。昔にイスカンダルに向かっていた頃に通って以来、ぜんぜん見ていないじゃない。だから、昔に基地があったところが今、どうなっているか確認してみたくない」

森雪は、相原に答えた。

「そんなことならお安いご用ですよ」

森雪と相原の通信の会話を聞いていた航海長の島大介が、会話に割って入って答えた。

「ありがとう。ごめんね」

「いえいえ、どうせ、反転して地球に戻るのに、冥王星の側は通って帰らなければならないから、コース的にもそれほどのロスにもならないし大丈夫ですよ」

島大介は、森雪に答えた。森雪は、通信を終えると、自分の船室に戻った。

「ゆみちゃん!」

部屋に入ると、森雪は、ゆみのことを呼んだ。

「あのさ、航海長がこれから反転して地球に戻るのに、冥王星のすぐ側を通ってくれるってさ。だから、今の冥王星の地面の様子を肉眼で確認できるよ」

森雪は、部屋で待っていたゆみに伝えた。

「え、頼んでくれたの?ありがとう」

ゆみは、森雪にお礼を言った。

コスモタイガーの研修は終わった。戦闘班長の祥恵も、自らの担当機であるコスモゼロに乗って、新人研修生たちと一緒に演習に出て、新人たちの指導をしていた。

「さあ、それじゃヤマトに戻るわよ」

祥恵は、坂本たち新人研修生に声をかけると、皆で宇宙戦艦ヤマトの格納庫に戻ってきた。全員の機体が無事ヤマトに戻ってきたことを確認すると、祥恵は第二艦橋に戻った。

「祥恵さん、昼休みは一緒に食堂で食事はどうですか?」

第二艦橋に戻る前に、お蝶婦人たちに誘われたのだが、

「ごめんね、第二艦橋でやらなければならない仕事がいっぱいあってさ」

祥恵は、お蝶婦人たちの誘いは丁寧に断って、第二艦橋に戻っていった。

コスモタイガーが全て格納庫に着艦すると、航海長の島大介はステアリングを回して、ヤマトを180度反転させ、地球への帰路についた。

帰りがけ、森雪に頼まれていた冥王星の様子を久しぶりに見たいというお願いを実現するために、冥王星の大気圏ぎりぎりまで近づいてから帰路についた。

「ほら、ゆみちゃん。見える?」

「うん。あれが冥王星」

「そうよ。どんどん近くに近づいてくるね」

ゆみと森雪は、船室の窓から冥王星をながめながら話していた。

「あ、見えた!」

ヤマトは、冥王星のすぐ真横を通り、冥王星の地上の様子がクレーターの凹みまで、まるで手に取るようにはっきり見えていた。

「ね、冥王星だよ」

「うん。冥王星って真っ白」

「そうね。冥王星の表面は、すべて氷でできているからね。冥王星は氷の惑星だから、どこまで行っても辺り一面、すべて氷しかない星なのよ」

ゆみは、森雪の説明通り、地表の表面がすべて真っ白の氷しかない星だというのを肉眼で確認していた。

「これじゃ、人なんてどこにも住めそうもない」

「でしょう」

森雪は、ゆみの頭を撫でてあげながら返事した。

「さあ、これからヤマトは地球に戻るから、戻ったら私たちヤマト乗組員も、何か事件が起きない限り、しばらく地上で待機していられるの」

森雪は言った。

「だから、ゆみちゃんのお姉ちゃん。私も一緒に探してあげるね」

「うん」

すっかり森雪のことを信頼してしまったゆみは、自分の頭を撫でられながら、森雪にべったりと寄りかかっていた。

救助要請につづく

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