「ここ、どこだろう?」
祥恵は、ベッドの中で目を覚まして、周りを見渡した。
白い壁の白い部屋で、自分が寝ているベッド以外に、医療機器が置かれている部屋だった。
「病院?」
祥恵は、医療機器が置かれているのを確認して、ふと思った。
「うちの近所の、東松原の病院かな?それとも学校の近くの、吉祥寺の病院かな?」
祥恵は、悩んでいた。
「いや、違う!私、宇宙人から逃げていたんだった。そして車を押して、その後に穴に落ちて・・」
祥恵の頭の中に、穴に落ちたときの記憶が戻ってきた。穴に落ちて、救急車で運ばれて、運ばれた先の病院で手当てをされて寝ていたのかな?祥恵は、想像していた。
「うん、ここに寝ていても状況はわからない。調べてみよう」
祥恵はベッドから立ち上がると、床に足をついた。
「痛っ」
祥恵は、思わず自分の膝を押さえた。自分が着ていたネグリジェの裾をめくって、膝を見てみると、包帯が巻かれていた。
「穴から落ちたときに怪我でもして、手当てをされたのかな」
祥恵は、自分の膝に巻かれた包帯をみて思った。
今度は、怪我をした膝を傷めないように、そっと床に足をついて歩き出した。病室の扉を開けると、廊下に出てみる。
「どこの病院だろう?」
祥恵の知っている東松原でも、吉祥寺の病院でもない。初めて来た病院だった。
祥恵が、その病院の廊下をゆっくりと歩いていると、後ろから看護師さんに声をかけられた。
「気がついたの?目が覚めたの?」
「あ、はい」
祥恵は、声をかけられた看護師さんに答えた。
「私、看護師をしている森雪といいます」
看護師は、祥恵に自分のことを自己紹介した。
「あ、私は祥恵といいます。ここは、どこの病院ですか?」
祥恵は、自分のことも自己紹介した後に、看護師さんに聞いた。
「ここは、東京の地下シェルターの中よ。地下シェルターの中にある病院」
「地下シェルター?」
「ええ、地上は宇宙人たちに攻められて、放射能だらけになってしまっているでしょう。そのために人間は地下に避難しているのよ」
看護師の森雪は、祥恵に説明した。
「ああ、新宿の」
「そうそう、新宿の地下から入って来ることのできる地下シェルターよ、ここは」
森雪は、答えた。
「私たち、私の家族は、その新宿の地下シェルターに避難しているところだったんだけど」
「そうなの?それじゃ、ちょうど地下シェルターに避難してこれたのね」
森雪は、祥恵から聞いて答えた。
「私、家族と車で宇宙船から逃げている途中に、襲われて、車が地面の穴にはまって、そこから車を押し出して、その後に私だけ穴の中に落ちてしまったはずなんだけど」
「そうなんだ。それで、穴から地下シェルターの中に落ちて来たのね」
森雪に言われた。
「あなた、すごかったのよ。石の欠片の上に乗って、空から降りて来て、病院の屋根を突き破って、落ちて来たんだから」
祥恵は、森雪から自分が病院に落ちて来たときのことを聞いて、我ながら驚いていた。
「あのう、私の家族は?」
祥恵は、森雪に聞いた。
「うちの家族も、車で地下シェルターに降りて来ているかと思うのですが・・」
「それは、多分、ここのシェルターにも役場があるので、そこに行けば、すぐわかるはずよ」
祥恵は、森雪に言われて、急いで役場に向かおうとして、歩くときに怪我をした膝に力が入って、思わずバランスを失って倒れそうになった。
「役場は、いつでも行けるから」
森雪は、倒れそうになった祥恵のことを支えながら、言った。
「とりあえずは、まずその怪我を治してからにしましょう」
そう言うと、祥恵は森雪に病室に連れ戻されて、ベッドにまた寝かされてしまった。
バスケ部のお姉ちゃんにつづく