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近所のひろ君

ゆみは、いつも部屋で過ごしていた。
生まれつき身体の弱かったゆみは、外で遊ぶことは出来なかった。いろいろなものが飛んでいる外で遊ぶと、身体が弱く、免疫力の低いゆみは、菌などを拾ってしまい、すぐ病気になってしまうためだった。だから、遊ぶ場所は、いつも部屋の中だった。

ゆみのお姉ちゃんの祥恵は、ゆみとは全く正反対で、生まれつき身体が強く丈夫で、どんなスポーツをやらせてもスポーツ万能だった。いつも部屋で過ごしているゆみと違い、いつも公園で夜遅くまで、男の子たちと遊んでいる、常に髪もショートカットにしている活発な女の子だった。

お姉ちゃんの祥恵には、近所に、ひろ君という仲の良い男の子がいた。仲が良いというよりも、どちらかというとお姉ちゃんの手下のような男の子だった。お姉ちゃんは、よく近所の男の子たちと公園に集まって、野球をしているのだったが、運動があまり上手でないひろ君は、自分一人だと打つ順番も後ろのほうに回されてしまい、守る場所も外野の後ろの方に追いやられてしまっていた。それが、あるときピッチャーをやっている祥恵のキャッチャーをやったことで、すっかり祥恵に気に入られ、それから、いつも野球ではキャッチャーのポジションをレギュラーにしてもらえるようになった。以来、ひろ君は、姉の祥恵のことを慕うようになり、いつも姉の後にくっついて過ごすようになっていた。

そのひろ君の家は、ゆみの家のちょうど裏側、数軒先のところにあった。そのため、公園に遊びに行くときも、お母さんに頼まれてスーパーにお買い物に行くときも、幼稚園に行くときも、いつも常に、ゆみの家の裏側の道、ちょうど2階の部屋の窓から見渡せる道路を通っていた。

ゆみが部屋の窓から外の通りを眺めていると、ひろ君とよく目が合った。ゆみと目があうと、ひろ君は、いつもゆみの方に向かって大きく手を振ってくれた。ゆみも、ひろ君に向かって手を振り返すようになっていた。

「あの子、祥恵さんの妹なんだよな」

ひろ君は、窓から見下ろしているゆみと目が合うたびに思っていた。今度、祥恵さんの家に遊びに行ったときは、妹さんとも遊んでみたいなと、思ってくれていたらしかった。しかし、免疫力の低いゆみは、お姉ちゃんが友だちを家に連れてきたときは、いつも姉たちとは別の部屋で過ごしていた。そのため、結局ひろ君とも、最後まで窓から見下ろす以外に出会うことは一度もなかった。

ゆみは中学生に・・につづく

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