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さよなら、お姉ちゃん

「なあに?」

ゆみは、お母さんのお膝で目覚めて、聞いた。

「大丈夫よ」

お母さんは、ゆみのことを抱きながら答えた。

「まだ、追っかけてくるな」

お父さんは、必死で上空の宇宙船から逃げようとしていた。

宇宙船が、こちらに向かって、また射撃してきた。
こんどの射撃した弾は、車の少し後ろの道路に当たった。そこには、大きな巨大な穴が開いた。

「うわ!こわい」

後ろの座席に座っているお姉ちゃんは、後ろの窓から、開いた穴を眺めて身震いした。なんせ、車のすぐ後ろのところに大きな穴が開いているのだ。

ズバーン!

上空の宇宙船からは、さらに射撃をしてくる。

次に射撃した弾は、車のすぐ後ろの地面に当たった。その直前に開いた穴と今回開いた穴が地割れでくっついて、ただでさえ大きかった穴が、さらに広く開いた。

「う、進まない」

その開いた穴に、車の後部タイヤがはまってしまったみたいだ。お父さんは、必死にアクセルを踏み込むのだが、車はぜんぜん前へ進まない。

「もう少し踏み込まないとだめか」

お父さんは、必死でギヤを入れたりしながら、アクセルを踏み込んでいる。

「私が降りて、押すよ!」

「いや、お前は中に乗っていなさい」

お父さんが返事をする前に、お姉ちゃんは車を降りて、車の後ろから押していた。

「お父さん、いい?」

お姉ちゃんは、運転席のお父さんに声をかけながら、

「1、2、の3」

車の後部を必死で押した。それに合わせて、お父さんがアクセルを踏み込むと、車は、前へ進んだ。

「よし、進んだぞ!祥恵、早く車に乗りなさい!」

お父さんが、車の後部にいる祥恵に叫んだのと、ほぼ同時ぐらいに、宇宙船の射撃で開いた穴の地割れが大きく開いて、車のすぐ後部の地面が、穴の中に吸い込まれていった。その上に立っていたお姉ちゃんも、地面と一緒に穴の中に吸い込まれていってしまった。

「お、お姉ちゃん!」

ゆみは、慌てて車のドアを開けて、車外に飛び出そうとしたが、お母さんにしっかり押さえつけられて、車外には出れなかった。

それと同時ぐらいに、宇宙船が降りてきて、車をのみ込もうとしてきた。お父さんは、慌ててアクセルを踏み込み、宇宙船から車を離す。

「おーい、こっちだ!こっち!」

道路の前方には、新宿の地下駐車場に入るための入り口があって、その入り口脇に立っている作業服姿のおじさんが、こちらに向かって大声で呼んでいた。

お父さんは、必死でアクセルを踏み込むと、呼んでいるおじさんの方に向かって、車を飛ばした。宇宙船も、車の後を追いかけてくる。

お父さんの運転する車が、駐車場の入り口から中へ滑り込むと、入り口脇にいたおじさんが、そこのゲートを急いで閉めてしまった。おじさんがゲートを閉めるのが、あとほんの少し遅かったら、宇宙船も突入してきていたかもしれなかった。

ゲートが閉まって、中に入って来れなくなった宇宙船は、地面に突っ込むギリギリで、急速上昇し、空へと消えていった。

「まさにギリギリでしたね」

「ええ、ありがとうございます」

お父さんは、地下駐車場の中で、ゲートを閉めてくれたおじさんにお礼を言っていた。

「地下シェルターへの避難ですよね?」

「ええ、どちらに行けば、地下シェルターでしょうか?」

おじさんに聞かれて、お父さんは、逆に地下シェルターの場所を尋ねた。

「このまま、まっすぐ行ってもらうと、シェルターに降りるためのエレベーターの順番待ちしている車の列があります。その最後尾にお並び下さい」

おじさんは、お父さんに案内してくれた。

「ありがとうございます」

お父さんは、車を運転して、地下駐車場の中をさらに進めていく。

「お姉ちゃんは?」

ゆみが、お母さんに聞いた。お母さんは、何も言わずに、黙ってゆみのことを優しくしっかり抱きしめた。

ひとりぼっちにつづく

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