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大爆発!

「お願い、もっと早く飛んで」

ゆみは、自分のピンク色のコスモタイガーを操縦しながらつぶやいた。

ゆみとスターシャを乗せたコスモタイガーは、イスカンダル星のタワーを発進すると、全速力で大空へと飛び立っていた。まもなくイスカンダル星の大気圏を離脱できるだろう。

ドカーーン!

そのとき、ゆみたちのコスモタイガーの背後でものすごい爆発音がした。イスカンダル星の自爆スイッチが作動して、星が大爆発を起こしたみたいだった。

イスカンダル星は大爆発とともに、粉々に砕け散った。砕け散った星の欠片は、無数の星屑となって宇宙に散らばっていた。散らばった星屑は、その上空を飛んでいたゆみたちのコスモタイガーにも大量に降り注いできた。それらの星屑を、ゆみは必死で操縦桿を握りながら回避していた。

ゆみのコスモタイガーは、イスカンダル星の爆発時に上空を飛んでいたから、まだ爆発でできた星屑を回避する余裕があったが、爆発時にイスカンダル星の地面に着陸していた黒い艦隊たちは、爆発から逃げる余裕すら全く無かった。

イスカンダル星が爆発すると、その地表に建てられていた建物も、星とともに粉々に砕け散ったが、その建物と同じように、地表に着陸していた黒い艦隊たちも粉々に砕け散ってしまっていた。砕け散った艦隊の欠片は、イスカンダル星の欠片と一緒に星屑となって宇宙に散っていった。黒い艦隊は、一隻たりとも生き残れたものはいなかった。

「あの真っ黒な艦隊さんたち、皆いなくなちゃった」

ゆみは、コスモタイガーを操縦しながらチラッと背後を振り返ってつぶやいた。スターシャは、ゆみの言葉に黙って、寂しそうに頷いていた。

「あん、避けなくちゃ」

ゆみに、黒い艦隊たち、人のことをかばっている余裕など無かった。砕け散って次々と飛んでくる星の欠片を必死で避けながら、コスモタイガーを飛ばしていた。

しかし、飛んでくる星の欠片の数は途方も無く多かった。さすがに最優秀MVPのゆみでも、その全ての欠片を避けきれるものではなかった。1個のわりと大きめの欠片が、ゆみの操縦するコスモタイガーの左舷の翼に当たった。その衝撃でコスモタイガーは、バランスを失って、左に傾いた。

バランスを失い、失速したコスモタイガーの今度は右舷の翼に、別の欠片がぶち当たった。コスモタイガーは今度は右に少し傾いていた。尾翼の翼にも、無数の欠片がぶち当たって、中にはコスモタイガーの機体本体にぶち当たる欠片もあった。

それらを必死で避け、機体のバランスを取りながら、ゆみは操縦していた。

「痛い!」

割れたコクピットのハッチの隙間から入り込んだ小さな欠片が、ゆみの頬に当たった。ゆみの頬からは、真っ赤な血が流れていた。

「大丈夫・・」

ゆみの頬から流れる真っ赤な血を、後ろの座席から手を伸ばして、指でおさえてくれているスターシャだった。

星の欠片の間をぬって、コスモタイガーはヤマトの格納庫を目指して飛び続けていた。必死で飛び続けているコスモタイガーの機体は、当たった欠片などでボロボロに破損していた。コクピットのハッチのガラスもヒビが入っていた。

機体のあっちこっちに穴が開いている、おそらくこのまま飛び続けたら、機体に開いている穴からコスモタイガーにある空気は抜けていってしまって、ゆみもスターシャも酸欠状態になってしまうだろう。

イスカンダル人のスターシャは、もしかしたら空気が無いところでも、しばらくは生きていけるのかもしれないが、地球人のゆみは空気が無くなってしまったら生き続けられない。

例え、途中で、あたしの息が続かなくなっても、なんとかしてお母さんのスターシャさんだけは、あの途中にすれ違った脱出船の中にいた赤ちゃんの元に届けてあげたい。ゆみはそう思っていた。

「ナビ、ナビは・・」

ゆみは、左瞼の上辺りを小さな欠片がぶつかって怪我をしていて、左目がよく見えない。そんな左目で必死にコクピットの機械類を、手探りも含め、ナビの位置を探して、ナビにヤマトの格納庫の位置をインプットしていた。目的地をヤマトの格納庫にセットして、自分が意識を失ってしまった後でも、コスモタイガーの機体がヤマト格納庫にたどり着けるように、自動操縦のスイッチを入れた。

「よし、これでコスモタイガーはヤマトにたどり着ける・・」

ゆみは、必死で操縦桿を握りながらも、自分の意識が薄れていくのを感じていた。

おそらくコスモタイガーの空気は、機体に開いた穴からどんどん抜けていってしまっているのだろう。このままだと地球人のゆみは、酸欠で亡くなってしまう。

そう思っていたのだが、コスモタイガーの中の空気が無くなり、酸欠になってしまうことはなかった。コスモタイガーのあっちこっちは破損し、確かにそこから機内の空気は抜けていたのだが、イスカンダル人のスターシャが自分の持っている力を最大限に使って、コスモタイガーの周りに空気が逃げないように薄いバリアーの膜をはってくれていたのだった。

「地球の少女よ、大丈夫。あなたは、私が必ずヤマトに送り届けてあげるわ」

スターシャは、心に誓っていた。

姉と再会につづく

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