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地下へ降りるエレベーター

「やっと地下シェルターへ降りられるぞ」

お父さんは、2人に言った。

1週間後、放射能検査の車がやって来て、ゆみの身体をチェックしたのだった。そしたら、身体の中の放射能は、すべて除去されていたのだった。

その証明書を、地下シェルターへのエレベーターの乗務員に見せて、やっと地下シェルターに入るためのお許しが出たのだった。

ゆみとお母さんは、車の助手席に乗って、お父さんは運転席で車を前へ進める。ゆみは、助手席のお母さんの膝の上に座っていた。お父さんが、張り切りすぎて、地下のショッピング街から予想以上の多くの食料品を持ってきてしまったため、車の後部は、トランクも座席も食料品で満杯だった。

「なんだか、車のアクセルが重いな」

お父さんは、車を動かしながら言った。

「それは、そうですよ。後ろに食品を積み過ぎですよ」

お母さんは、そんなお父さんの運転を見ながら笑っていた。

「そのまま、前進してください!」

エレベーターの案内係が、運転しているお父さんのことを誘導して、エレベーターの中に、車を搭乗させた。

「それでは、扉を閉めますので、エレベーターが地下に到着するまでの間、中で待機してください。待機中は、車に乗ったままでも、降りていただいても、どちらでも大丈夫ですよ」

そう説明すると、案内係は、自分はエレベーターから降りてから、扉を閉めた。

「それでは、エレベーターを下降させますが、ご準備は宜しいですか?」

「何分ぐらいで下まで到着するのですか?」

お父さんが、エレベーターの中から外の案内係に向かって聞いた。

「だいたい、1時間半から2時間ぐらいです」

「あ、そんなに掛かるのですか」

「地下シェルターは、地上の放射能の影響を受けないように、かなり深くまで掘ってありますので」

案内係は言うと、エレベーターの下降スイッチを入れた。車が乗っているエレベーターは、下に向かって、ゆっくりと動き始めた。

エレベーターは、動き始めてしばらくは真っ暗なトンネルの中を降りていた。やがて、トンネルを抜けて、エレベーターはガラス張りのチューブの中を下に向かって下るようになった。

「ゆみ、ちょっと降りてきて、下を見てみなさいよ」

車の外で景色を眺めていたお母さんが、ゆみのことを呼んだ。ゆみは、車の助手席から降りて、お母さんのいるエレベーターの端っこに歩いていった。

エレベーターもガラス張りで、エレベーターが降りていくチューブもガラス張りで透明だった。そのために、エレベーターが降りていく眼下の地下シェルターの町が一望できた。

「あそこが地下シェルターなの?」

「そうみたいね。あそこで、しばらくの間は避難生活することになるのでしょうね」

お母さんは、答えた。

地下シェルターの町は、シェルター全体の中央にあった。コンクリートの建物がたくさん建っていた。きっと、そこに避難している人たちが暮らしているのだろう。

その地下シェルターの町の周囲は、緑の自然で囲まれていた。

「ゆみ、見てごらん。きっと、あそこにいる動物たちは、ゆみが助けてあげた動物たちかもしれないよ」

お母さんは、緑の自然の中で暮らしているゾウやキリンなどの動物たちを指さして、ゆみに説明した。

ライオンやハイエナなどの肉食獣の姿も見えた。肉食獣の中には、草食獣を捕食して、食事の真っ最中のものもいた。

「なんか、動物園にいる頃よりも、自然の中で動物たちが生き生きと暮らしていそう」

「そうね。確かに動物たちも幸せそうで良かったわね」

お母さんは、ゆみの頭を優しく撫でてくれた。

空から降ってきた少女につづく

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