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ぬれネズミ

「うわっ!見てみろよ、これがヤマトなのか」

「デカいな!」

太助たちは、ボートの上から目の前の宇宙戦艦ヤマトを見上げながら叫んでいた。

乗艦式が終わって、太助たちボートでヤマトに乗艦する組は、沖に停泊中のヤマトに向かうボートの中にいた。

太助たちは、目の前の憧れの宇宙戦艦ヤマトを見上げて騒いでいたが、ゆみただ一人だけは、目の前のヤマトには興味なさそうに前方を向いていた。

ボートを操船している卒業生までもが、操船そっちのけでヤマトのことを見上げていた。

「あっ、前!」

ゆみが、前方を指さしながら小さな声で叫んだ。

「うっ」

その様子に太助が気づいて、その後、ゆみが指さすボートの前方を見た。ボートは、スピードを上げて前進していた。その前方には、ヤマトの船体があった。

「あっ!危ない!」

ボートの操船をしていた卒業生も、普段は寡黙なゆみの叫び声に、前方に迫ってくるヤマトの姿に気づいた。そして、慌ててハンドルを回してヤマトにぶつかるのを回避した。

「うわっ!」

ボートは、急ハンドル、急旋回でバランスを失い、引き波に船体が揺れて、そのまま横倒しに倒れてしまった。

ボートに乗っていた卒業生たちは、慌てて、ボートから海に飛びこむと、その先のヤマトのゲートに向かって泳ぎだした。

「うわ、死ぬかと思った」

「びしょ濡れだな」

卒業生たちは、濡れた身体でヤマトに乗りこむと、自分たちのびしょ濡れの姿に慌てていた。

「おいおい、なんてザマだよ」

そこへ、古代進や島大介たちがやって来て、新人乗組員のさんざんな姿に呆れていた。卒業生たちは、濡れた服や濡れた髪を乾かそうとしていた。

「全員、無事にヤマトに乗りこんでいるのか?」

古代進が、やって来た卒業生たちに聞いた。卒業生たちは、それぞれに足りない人がいないか周りを見渡して確認していた。

「あっ、ゆみちゃん!」

太助が突然叫んだ。

「ゆみちゃんがいない!」

太助は、皆に言った。

「ブスか。まあ、ブスはどうでもいいよ」

「泳いで、陸地に戻ったんじゃないか」

卒業生たちは、口々にゆみのことを言っていた。

「ゆみちゃん、泳げないんだよ。前に、水泳の授業のときも泳げないとかで見学していたし」

太助は、ゆみの姿を沖合にいないかどうか探していた。

「あっ、あそこ!」

一人の卒業生が横倒しになっているボートを指さして叫んだ。太助も、そっちの方を見ると、横倒しになったボートの船体の上に、ゆみが乗っかっていた。

「ゆみちゃーん!」

太助は、ボートの上のゆみに向かって叫んだ。

「太助!早く助けにきなさいよ!」

ボートの上から、ゆみは太助に命令した。太助が、もう一度海に飛びこんで、ゆみを迎えに行こうとすると、

「一人で来させろ!」

古代進が、太助に言った。しかし、

「ゆみちゃんは泳げないんです」

太助はそう言うと、再び海に飛びこみ、ゆみの乗っているボートのところまで泳いでいくと、ボートを引っ張ってヤマトのゲートのところまで運んできた。おかげで、ゆみは全く濡れずにヤマトに乗艦することができた。

ゆみがひっくり返ったボートからヤマトに乗り移った。

「おまえは、なんで自分で泳いでこない?」

古代進が、ゆみに聞いた。ゆみは、チラッと古代進のことを睨んでから無視した。

「皆、服がびしょ濡れなのに、お前だけちっとも濡れていないじゃないか。泳げなくてもいい、とりあえずお前も海に飛びこんで服を濡らしてこい」

古代進には、ゆみだけ服が濡れていないことが我慢できないようだった。

「早く飛びこめ!飛びこまないなら、俺が落としてやろうか?」

古代進に言われたが、ゆみはどうしても服を濡らすわけにはいかなかった。もし、服が濡れて、生地が透けてしまったら、腕とお尻の貧民のマークを皆に見られてしまうではないか。古代進は、今すぐ海に飛びこめとばかりに、こちらを睨んでいた。

しかし、ゆみは、その場に黙って立っていた。

「もうやめて、古代君もいいかげんにして」

森雪が、意地になって、ゆみに怒っている古代進に言った。

新人生活班につづく

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