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出発の日

「ゆみちゃん・・」

次の日の朝、お母さんは起きてきたゆみに声をかけた。

「お母さんね、昨日、佐渡先生からお話を聞いたんだけど、ゆみちゃんが、時々持ってきてくれるごはんというのは、貧民街の外のお店から盗んできたものなの?」

「そうだよ」

ゆみは、お母さんにケロッとした顔で返事した。

「お母さんは、それはやめてほしいな」

お母さんは、ゆみに言った。

「人のものを盗むのは良くないことよ」

「うん、わかってる。でも、仕方ないじゃん。だって、あたしたちのことをこんなごみ溜めみたいなところに閉じ込めて、何もごはんくれないんだもん」

ゆみは、お母さんに言った。

「それは、そうかもしれないけど。人のものを盗むような子に、ゆみちゃんにはなって欲しくないな」

お母さんは言った。

「大丈夫。あたし、今日からしばらく地球にいないから。ヤマトに乗って2週間ぐらい卒業旅行に行ってくるの。佐渡先生も行ってもいいって言ってくれたのよ」

ゆみは、お母さんに言った。

「ええ、ゆみちゃん。お出かけしちゃうの?」

あゆみが、ゆみに聞いた。

「うん、ごめんね。あたし1人だけでお出かけしちゃって。あたしがいない間はさ、あゆみちゃんがリーダーやるように竜にも言ってあるから」

ゆみは、あゆみに言った。

「わかった。しっかり食料を調達しておくね」

「うん、お願い」

ゆみは、あゆみに言った。

「坂田のおばあちゃん、すぐのどに詰まらせやすくなっているから。なるだけ、消化の良い、詰まらないものを配布してあげて」

「OK 」

ゆみに言われて、あゆみは指でOKサインをしてみせた。

「まあ、いいわ。状況が、状況なんだから仕方ないわね」

2人の会話を聞いていたお母さんも、本来は人様のものを盗んだりしちゃいけないのよと言った上で、最後は盗むことを許してくれた。いや、許したわけではなかったのだが、お母さんも貧民街の状況が状況なだけに、ほかに良い解決方法が思いつかなかったのだった。

「ほら、ゆみちゃん。お出かけしないと遅れるわよ」

「はーい!」

ゆみは、お母さんにバイバイを言って、卒業式に出かける支度をした。

「メロディも、美奈ちゃんたちも元気でね。あたし、しばらくお家を留守にするからね」

ゆみは、愛犬や愛猫たちにもバイバイの挨拶をした。

「それじゃ、行ってきます」

 

ゆみが学校に出かけてしまった後で、お母さんとお父さんも出かける準備を始めた。もうじき、佐渡先生がここに迎えにくるはずなのだ。

「あのね、おばさんね。おばさんたちも、ゆみについていくことになっているのよ」

お母さんは、あゆみたちに説明した。

「大丈夫かな。あなたたちだけ」

「うん。大丈夫だよ、あたしたちで、ちゃんとここのお家は守っておくから」

あゆみが、お母さんに言った。

「それは安心だわ」

お母さんは、あゆみの頭を撫でながら、笑顔で答えた。

「おばさんも、ゆみちゃんのこと、ちゃんと見守ってあげてね。ゆみちゃん、ときどきぶっ飛んだことやり始めることあるから」

「そうね。変なこと始めないように、おばさんが、ちゃんとゆみのことは、監視しておくわ」

「うん、お願いします」

あゆみは、お母さんに答えて、2人は笑いあっていた。

トントン・・

「準備はいいかね?」

ドアをノックする音がして、佐渡先生が迎えにきた。

「はい、大丈夫です」

お母さんとお父さんは、メロディたち犬猫を連れて、佐渡先生と共にコンテナの家を出て行った。

卒業式につづく

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