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ゆみの決断

「これ、食べるの?」

ゆみは、お父さんの拾ってきた食料を見て、言った。ゆみたちのコンテナの中には、ゴミ捨て場から拾ってきた古いテーブルが中央に置かれていた。そのテーブルの上に、朝お父さんが拾ってきたダンプカーから落ちた配給の食料が並んでいた。

どの食料も、一度ダンプカーから地面に散らばった食料なので、地面の泥などがついて汚れていた。

「ほら、なるだけ、ここら辺の汚れていないところを食べれば良いだろう」

お父さんは、食料の汚れていなさそうなところを指さして、言った。

「古いカセットコンロが落ちていたから、きれいそうな部分だけ使って、これで暖めて、お料理しましょう」

お母さんは、皆に言った。

「しょうがないよね。食べなきゃ死んじゃうもの」

あゆみが、落ちていたクッキーの欠片のきれいそうなところを選んで食べながら言った。

「あゆみちゃん、そんなの食べたら、お腹壊しちゃうよ」

ゆみは、落ちたクッキーを食べているあゆみたちに言った。

「ゆみちゃんはお嬢様だから。あたしたちは、地下シェルターでも洞穴に暮らしていたから、このぐらい大丈夫よ」

あゆみは、落ちたクッキーを食べてみせながら、ゆみに言った。

でも、ゆみには、どうしても落ちた食料を食べる気にはならなかった。もちろん、汚れているというのもあったけど、それよりも、私たちのことを勝手に貧民扱いにした地球政府に対する怒りから、そんな薄汚れた配給なんか食べたくないという思いが強かった。結局、その日の夜ごはんまで、ずっとゆみは、落ちた食品で作った食事を一切口にしなかった。

「ゆみちゃん、お腹空かないの?」

あゆみたちは、地面に落ちてた食料だが、お母さんが工夫して料理してくれた夜ごはんを食べていた。

「まだ、ここにお菓子とか残っているから」

ゆみは、地下シェルターから持参してきたバッグパックの中に入っているお菓子を少しずつ出して、食べていた。元々、身体の小さいゆみは、少食だったので、一回の食事をそんなに大量に食べる必要はなかった。

「でも、そのバッグパックの中の食べ物だって、いつか無くなちゃうのよ。そしたら、ここに住んでいる限りこっちの配給の食糧だって食べずには、いられないわよ」

お母さんは、ゆみに言った。

「いやだ!あたし、こんなところに住みたくない。だって、あたし貧民なんかじゃないもの。このアザは、あいつらが勝手に付けたものだし」

ゆみは、大声で文句を言った。

「そんなこと言っても仕方ないだろう。入り口には守衛がいて見張られているから、どこにも逃げられないし。貧民は貧民街から外に行ってはいけないんだし、私たちは貧民に選ばれてしまったのだから」

お父さんは、ゆみに言った。

「じゃ、お父さんは貧民でもいいの?ずっとこの先も貧民として暮らしていくのでも」

ゆみは、お父さんに聞いた。

「それは嫌だよ。嫌だけど、そういう風に決められてしまったのだったら仕方ないだろう。世の中にはルールがあるのだから」

お堅い医者の、歯医者のお父さんが、ゆみに説明した。でも、ゆみは、どうしても地球政府が勝手に決めつけた貧民なんかとして暮らしていくなんて嫌だった。納得がいかなかった。

「あたし、いつかぜったいに貧民街から脱けだしてやるから」

ゆみは、そう自分の心に固く誓っていた。

ゆみの単独行動につづく

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