「ねえ、祥恵。どこにする?」
祥恵たちは、お昼ごはんを食べ終わって、学校の体育館に戻ってきていた。
「やっぱ、運動系のクラブがいいかな」
「確かに、私もそう思っていた」
祥恵の返事を聞いて賛成したのは、同じ1組の美和という女の子だった。祥恵と美和ともう1人一緒にいるのは、ゆり子という女の子だった。3人とも小等部からずっと一緒のクラスメートで大の仲良しだった。
「ねえ、祥恵。午前中ホームルームのとき、祥恵と一緒に並んで座ってた背の小さい子いたでしょう。あの子がもしかしたら、祥恵の妹?」
「うん」
「ええ、なんで私たちに紹介してくれないのよ」
「これから私たちとも同級生でクラスメートなんだし、真っ先に紹介してくれても良かったんじゃないの」
美和とゆり子は、祥恵に文句を言った。
「ああ、だって、どうせクラスメートなんだし、そのうち、あなたたちとも話すと思って」
祥恵は、2人に言った。
「祥恵ってさ、自分の家族のこと話すの苦手だよね」
「確かに。なんか家族のこと紹介するのが、恥ずかしいことのようにコソコソしちゃってさ」
2人は、祥恵を攻めた。
「そんなことはないよ。ないけどさ」
祥恵が口どもっていた。
「まあ、ちょっとは、その気持ちわかるけどさ」
「でも、あの妹さん。とっても可愛らしい子だったのよ」
「うん。祥恵の妹とは、ぜんぜん思えない」
美和が言った。
「だから、ちょっと恥ずかしいのよ」
祥恵は、2人に言った。
美和やゆり子は、背が高い方だった。祥恵も背が高かった。3人とも活発な方で、祥恵とゆり子の髪はショートで、美和の髪は、2人よりは少し長かったが、ショートボブぐらいだった。
ゆみは、お母さんに言われるままに、髪は長くストレートで、胸の辺りまで伸びていた。背も、お姉ちゃんたちとは5歳年下ということを考慮しても、さらに小さくひょろとしていた。
3人とゆみとでは、ぜんぜん体格が正反対だった。
「もう、ゆみの話はいいよ。どの部活にするか見ようよ」
祥恵が、2人に言った。
「へえ、ゆみって言うんだ。ゆみちゃんか」
「かわいい名前じゃない」
2人が笑った。
体育館は、小分けに仕切られていて、入口脇の方では、バスケットボール部とバレーボール部の部員たちがそれぞれデモンストレーションをしていた。体育館の一番奥には、入学式のとき校長先生が話していたステージがあり、ステージの上では演劇部の部員たちが演劇の披露していた。
体育館の真ん中、中央辺りでは、踊りを踊っている部員がいた。3人は、しばらくの間、踊りを夢中になって眺めていた。
「どうですか?一緒に踊ってみませんか?」
ダンス部の先輩が、3人のところにもやって来て勧誘して来た。
「踊りは、面白そうだけど、なんか自分がやりたい部活とは違うな」
「確かに」
祥恵と美和は、話している。ゆり子は、自分が入部したいクラブを探すというよりも、純粋に、それぞれのクラブの部員たちがパーフォマンスしている姿を見ることを楽しんでいた。
「やっぱり、ここが良いかな」
「ね、私もそう思っていた」
祥恵と美和は、体育館をぐるっと一周回って、バスケットボール部のパフォーマンスをしているところに再度戻って来ていた。
「ここにしようか」
「うん」
2人は、バスケットボール部に入部することに決めた。
「ゆり子は、どうするの?」
「私は、部活はいいかな。帰宅部ということで」
ゆり子は、2人に言った。
はじめての英語につづく