今井ゆみ X IMAIYUMI

多摩美術大学 絵画科日本画専攻 卒業。美大卒業後、広告イベント会社、看板、印刷会社などで勤務しながらMacによるデザイン技術を習得。現在、日本画出身の異色デザイナーとして、日本画家、グラフィック&WEBデザイナーなど多方面でアーティスト活動中。

12 お姉ちゃんの部活

「ねえ、祥恵。どこにする?」

祥恵たちは、お昼ごはんを食べ終わって、学校の体育館に戻ってきていた。

「やっぱ、運動系のクラブがいいかな」

「確かに、私もそう思っていた」

祥恵の返事を聞いて賛成したのは、同じ1組の美和という女の子だった。祥恵と美和ともう1人一緒にいるのは、百合子という女の子だった。3人とも小等部からずっと一緒のクラスメートで大の仲良しだった。

「ねえ、祥恵。午前中ホームルームのとき、祥恵と一緒に並んで座ってた背の小さい子いたでしょう。あの子がもしかしたら、祥恵の妹?」

「うん」

「ええ、なんで私たちに紹介してくれないのよ」

「これから私たちとも同級生でクラスメートなんだし、真っ先に紹介してくれても良かったんじゃないの」

美和と百合子は、祥恵に文句を言った。

「ああ、だって、どうせクラスメートなんだし、そのうち、あなたたちとも話すと思って」

祥恵は、2人に言った。祥恵は、ゆみが生まれてから7年間ずっと、ゆみとは会っていない。いつも、インターネットを通して、パソコンの画面からしか妹と出会えていなかった。そのせいかどうかわからないが、実際に妹が日本に帰国して、妹と出会ってからは、妹と一緒の部屋で、同じ部屋に並んだベッドで寝るようになってからは、妹のことが大好き、好きで好きでたまらなかった。

例え、仲の良い友人でも、仲の良い友人だからこそ、大好きな妹のことを紹介するのがもったいなかった。なんとなく大事な妹のことを友達に取られてしまう気がしてしまっていた。

「祥恵ってさ、自分の家族のこと話すの苦手だよね」

「確かに。なんか家族のこと紹介するのが、恥ずかしいことのようにコソコソしちゃってさ」

2人は、祥恵を攻めた。

「そんなことはないよ。ないけどさ」

祥恵が口どもっていた。

「まあ、ちょっとは、その気持ちわかるけどさ」

「でも、あの妹さん。とっても可愛らしい子だったよね」

「うん。祥恵の妹とは、ぜんぜん思えない」

美和が言った。

「だから、ちょっと恥ずかしいのよ」

祥恵は、2人に言った。

美和や百合子は、背が高い方だった。祥恵も背が高かった。3人とも活発な方で、祥恵と百合子の髪はショートで、美和の髪は、2人よりは少し長かったが、ショートボブぐらいだった。

ゆみは、お母さんに言われるままに、髪は長くストレートで、胸の辺りまで伸びていた。背も、お姉ちゃんたちとは5歳年下ということを考慮しても、さらに小さくひょろとしていた。

3人ともゆみと比べたら、ぜんぜん体格が真反対だった。

「もう、ゆみの話はいいよ。どの部活にするか探そうよ」

祥恵が、2人に言った。

「へえ、ゆみって言うんだ。ゆみちゃんか」

「かわいい名前じゃない」

2人が笑った。

体育館は、小分けに仕切られていて、入口脇の方では、バスケットボール部とバレーボール部の部員たちがそれぞれデモンストレーションをしていた。体育館の一番奥には、入学式のとき校長先生が話していたステージがあり、ステージの上では演劇部の部員たちが演劇の披露していた。

体育館の真ん中、中央辺りでは、踊りを踊っている部員がいた。3人は、しばらくの間、踊りを夢中になって眺めていた。

「どうですか?一緒に踊ってみませんか?」

ダンス部の先輩が、3人のところにもやって来て勧誘して来た。

「踊りは、面白そうだけど、なんか自分がやりたい部活とは違うな」

「確かに」

祥恵と美和は、話している。百合子は、自分が入部したいクラブを探すというよりも、純粋に、それぞれのクラブの部員たちがパーフォマンスしている姿を見ることを楽しんでいた。

「やっぱり、ここが良いかな」

「ね、私もそう思っていた」

祥恵と美和は、体育館をぐるっと一周回って、バスケットボール部のパフォーマンスをしているところに再度戻って来ていた。

「ここにしようか」

「うん」

2人は、バスケットボール部に入部することに決めた。

「百合子は、どうするの?」

「私は、部活はいいかな。帰宅部ということで」

百合子は、2人に言った。そして、百合子は祥恵と美和の2人がバスケ部に入部手続きしているのを眺めているだけだった。2人の入部手続きが終わると、3人は学校を出て家路についた。

「ね、百合子。百合子って初めから部活に入る気なかったでしょう」

「うん」

「私たちの部活探しに付き合ってくれていたの?」

「そんなことないよ。部活に入部することには興味なかったけどさ。中等部になって、初めての部活じゃない、どんな部活があるのかなっていう興味はあったから」

百合子は、2人に答えた。

「なんとなく面白そうだなって部活はあったし、今は入部まではする気ないけどさ。そのうち入部するかもしれないし」

「そうなんだ。どの部活に興味あったの?」

「ぜんぜんわからない・・」

「何それ」

「変なの」

3人は、吉祥寺駅までの道を笑いながら帰っていった。吉祥寺駅に着くと、美和は中央線で国分寺方面、祥恵は京王井の頭線で東松原駅だ。百合子は、電車通勤ではなく、そのまま吉祥寺駅の線路を井の頭公園とは逆方向に越えて、吉祥寺駅前の商店街、サンロードを通り抜けた先にあった。

「じゃあね、バイバイ!」

3人は、駅で別れて、それぞれの家路に着いた。

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