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クラス対抗戦

「ゆみさん、絶対勝てますから、頑張ってください」

太助は、ゆみのコスモタイガー機に給油をしながら言った。

「ありがとう」

「いえいえ、ゆみさんの腕ならば、明日のコスモタイガーのクラス対抗戦は、ぶっちぎりで一番ですよ」

そう言って、太助は、ゆみのコスモタイガー機を上空に送り出した。

「何、明日のクラス対抗は、あのブスが一番とか言ってたか?」

太助の横にやって来た坂本が言った。

「ええ、ゆみちゃんの腕ならば明日のクラス対抗は絶対に優勝できますよ」

「お前な、クラスでコスモタイガーの操縦ナンバーワンって誰だと思っているんだよ」

「どう見たって、坂本さん以外に一番は考えられないだろう」

坂本は、彼らがそう言うのを満足そうに聞いていた。

「え、まあ、確かに坂本さんはコスモタイガーの操縦は上手ですけど、ゆみちゃんも本当に上手っていうか、俺に代わってコスモタイガー機に搭乗してくれた日以来、まだ1ヶ月ですけど、彼女のコスモタイガーの操縦はメキメキ上達していますよ」

太助は、坂本たちに言った。太助は、ゆみが目の前にいないときだけ、ゆみのことを、ゆみちゃんと呼んでいた。ゆみが自分の目の前にいるときは、ゆみさんと呼んでいた。前に、本人の前で、ゆみちゃんと呼んでしまった時があるのだが、その時に、ゆみに、ちゃん付けで呼ぶなと叱られてしまったことがあるのだった。以来、太助は、本人がいる目の前では、ゆみさんと呼ぶようになっていた。

「明日のクラス対抗が楽しみです」

太助は、ゆみが上空をコスモタイガー機で飛んでいる姿を眺めながら、坂本に言った。

「けっ、あの女がクラス対抗で勝つわけなんかないだろう」

坂本は、ゆみのことを鼻で笑っていた。

が、クラス対抗でゆみは一番でゴールに戻って来た。

コスモタイガーのクラス対抗は、上空にアドバルーンを大量に飛ばして、その浮かんでいる大量のアドバルーンの中をうまく避けて、コースを周って地上のゴールに戻ってくるというものだった。

当日、コスモタイガー機に搭乗し、一斉に飛び立った学生たちは、浮かんでいるアドバルーンの障害物を上手に避けながら、決められたコースを進んでいく。しかも、一定のスピードは保ったまま、障害物を上手に避けなければならない。

全ての障害物を無事クリアして、地上のゴールに最初に戻って来たコスモタイガー機は、ゆみの乗っているコスモタイガー機だった。

一方、坂本の乗っているコスモタイガー機は、さんざんな状態だった。スタート直後こそ、誰よりも最初に上空に飛び立ち、余裕で障害物を避けていた坂本機だったが、二番手にやって来たゆみ機が、上手に障害物をクリアしながら、自分に迫ってくる姿を見た途端に、調子が狂ってしまった。焦った坂本機は、すぐ左に浮かんでいたアドバルーンの存在に気づかずに衝突し、アドバルーンを割ってしまった。1個のアドバルーンを割ってしまって、調子が狂った坂本機は、その後、浮かんでいたアドバルーンに次々と触れてしまい、計17個のアドバルーンを割ってしまった。

坂本機が、地上のゴールに戻って来たときには、既に他のコスモタイガー機の大半がゴールしていた後だった。

「チキショー!あのブスが、あいつがいなければ、完全に俺の完全勝利だったのに」

坂本は、表彰台で、宇宙戦士訓練学校の学長から優勝カップを受け取っているゆみの姿を横目で見ながら、少し荒れていた。

このクラス対抗戦を境に、坂本とゆみのコスモタイガー実習の頂上決戦は、卒業までずっと続いていくこととなった。

とは言っても、ライバルとして意識しているのは坂本の方だけだった。ゆみの方は、特にコスモタイガー実習で自分が一番になりたいと思っているわけではなく、たまたま実習で搭乗すると、いつも1番になってしまうというだけのことだった。

そこが、また坂本としては、ゆみのことを憎らしく思ってしまうところでもあった。

いつか、クラスのコスモタイガー実習は、坂本とゆみの2グループに別れるようになっていた。と言っても、クラスの殆どは、加藤四郎もお蝶夫人グループも皆、坂本のサイドについていた。ゆみのグループはというと、太助ぐらいのものだった。

コスモタイガー機は、操縦士1人で飛ばすものではなかった。一つのコスモタイガー機に操縦士、機関士、エンジニアなどが揃って、グループで飛ばすものだった。クラスの殆どは、坂本の側についているので、クラスのエンジニアもナビゲーターも皆、坂本機にしっかりついていた。ゆみ機には、太助以外誰もついていないので、機関チェックだけでなくエンジニアもナビゲーターも皆、太助が1人で担当していた。

それでも、ゆみ機の方が、大概、坂本機よりも先にゴールしていたので、それが余計に坂本を怒らすこととなっていた。

卒業戦につづく

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