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貧民街の小さな改革

「おい、誰もいないぞ」

竜は、下水道の中から地上に出て、辺りを見渡してから、下水道の中の皆に言った。

「行くわよ」

ゆみの合図とともに、少年盗賊団の子どもたちが次々と下水の中から地上に出た。

「うわ、地上だ。しかも貧民街の中じゃない」

子どもたちは、下水を伝って貧民街ではない地上に脱出できたことに感動していた。

「さあ、急いで、誰かに見つからないうちに」

ゆみに言われて、子どもたち皆は真剣な表情に戻った。そして、目の前にあるコンビニの裏口に近づいた。コンビニといえば24時間営業かと思うかもしれないが、まだ復興途中の町のコンビニでは24時間営業するほどのニーズはまだ無かった。お店の中は真っ暗だった。

ゆみは、コンビニの裏口に近づくと、自分の髪からヘアピンを抜いて、ドアの鍵穴に差し込むと裏口のドアの鍵を開けた。

「さあ、急いで」

皆は、店内に入ると、ゆみの指示の通りにお店の中の商品を少しずつ持ってきたバッグに詰めてから、お店の店外に出ていく。

最後に、ゆみも盗んだ商品を入れた自分のバッグを抱えて、お店から出る。その後は、泥棒が入ったことがわからないように、元通りにお店の裏口のドアに鍵をかけてから、子どもたちと一緒に下水道の中に戻っていく。

少年盗賊団の皆は、すぐにばれないように毎晩お店を変えて、盗みに入っていた。そのかいがあって、あれだけ広かったコンクリートの空間には、盗んできた商品でいっぱいになっていた。

集まった商品、食料は少しずつ分けて、貧民街に住んでいる貧民たちの中で必要な人から順番に分け与えていた。といっても、いきなり貧民たち全員に分け与えるようなことは決してしなかった。本当に必要な人から順番に分け与えていた。

まだ、少年盗賊団の盗んできた食料を分け与えてもらえていない家族たちは、引き続き朝になると貧民街にやって来るダンプカーが地面に落としていった食料を拾っていた。少年盗賊団が盗んできた食料を分け与えてもらっていた家族も、それだけで十分に暮らしていけるというほどの量を分け与えてもらえるわけではなかったので、彼らも足りない分はダンプカーの落としていった食料もプラスして賄っていた。

そうすることで、ダンプカーの落としていった食料が地面に残ったままになることも防いでいたのだった。少年盗賊団たちだって、そんなに貧民街の貧民たち全員分の食料を潤沢に盗んでこれるほどではなかった。それに、例え少年盗賊団が潤沢に食料を調達できたとしても、それでいきなりダンプカーが落としていった食料が貧民たちから見向きもされなくなってしまったら、反って、貧民街の守衛たちから怪しまれてしまっていたことだろう。

貧民たち皆の食料は盗んではくるのだが、ダンプカーが運んでくる食料が地面に置き去りになって、守衛たちに怪しまれないように、うまくバランスを保って、皆に配布するようにしていたのだった。

それでも、地面に落ちた食料だけでなく、お店で普通に売られている食料も食べられるようになったことで、世界のほかの地域の貧民街の貧民たちに比べて、新宿の貧民街の貧民たちの栄養状態、健康状態は格段と良くなってはいた。

少年盗賊団の子どもたちも、自分たちがここの貧民たちの生活を支えているんだという自覚を持って、誇りを持って活動するようになっていた。

そして、ゆみは、少年盗賊団の子たちとの盗みの合間に、5丁目からさらに先の4丁目、3丁目の下水の配置図も調査して、自分の調べた下水道の地図に書き足していた。

妹探しにつづく

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