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洋服屋さん

「ゆみちゃん、今日は、どこに盗みに行くの?」

子どもたちが、ゆみに聞いた。

「今日はね、あっちのお店!」

ゆみは、奥のお店のほうを指さして答えた。

「お店なんてないぞ」

竜は、ゆみが指さした辺りにやって来て、周りを見渡して言った。

「あるじゃない、そこに」

ゆみは、竜が立っているすぐ後ろのお店を指さして言った。

「は?バカかよ、ここは、洋服屋さんだぞ。食べ物なんか置いていないよ」

竜が、ゆみに言ったが、ゆみは、そのままお店の裏口に行き、また自分の髪からヘアピンを抜くと、ヘアピンを鍵穴に指して、ドアの鍵を開けた。

「はい、お店に入りますよ。静かにね」

ゆみは、子どもたちをお店の中に入れた。子どもたちは、すっかりゆみのことを信じてくれていて、ゆみの言うお店の中に黙ってついてくる。竜も、さすがに、ゆみのことを信頼してきたみたいで、何も文句を言わずに店内に入った。

「どれがいいかな」

ゆみは、あっちこっちの棚から少しずつ子供用の下着やお洋服を取ると、子どもたちの背負っているバックパックの中に入れた。

ある程度、子どもたちのバックパックの中がいっぱいになってくると、ゆみは、皆を誘ってお店を出た。子どもたち全員がお店を出ると、ゆみはヘアピンでドアの鍵を元通りに閉めてから、お店を離れた。

「ね、ゆみちゃん。これって僕らが着てもいいの?」

「うん」

ゆみは、子どもたちに聞かれて頷いた。

「ええ、どれにしようかな」

「この青いシャツ、俺がもらった!」

子どもたちは、バックパックの中から盗んできた洋服を取り出しては、皆それぞれに、好みの服を選んでいた。なにしろ、今着ている服以外に一着も服を持っていなかったのだ。替えの服をもらえることが余程うれしいらしかった。

「ああ、どうせなら、あたしはお店に置いてあった赤いワンピースが良かったな」

「わたし、リボンの付いた白いスカートがほしかった」

「もう1回盗みに行こうか?」

女の子たちは、盗んできた服の中から自分の好きなものを選びながらも、可愛い洋服も欲しかったなと話していた。

「あたしも、圭子ちゃんはワンピースとか着たら可愛いって思ったけど。あゆみちゃんもスカート似合いそうだって思ったのよ。でも、ここで暮らすには、スカートとかワンピースじゃ暮らしにくいでしょう。だから、また地上に戻れるようになるまで避難中の間は、ズボンで我慢してね」

ゆみは、女の子たちに話した。

「そうだよね。ここの洞穴の中じゃ、スカートで暮らせないものね」

女の子たちは、ゆみの話に納得してくれた。

「たぶん、向こうの大きな建物の中に避難している人たちが、あのお店にあったスカートとかワンピースは着るのよ。あたしたち貧乏避難民は、ズボンで我慢しましょう」

ゆみは、女の子たちに言った。

「ゆみちゃんも、避難してくる前は、スカートとか履いて学校に行っていたの?」

「ゆみちゃん、可愛いしスカート似合いそうだものね」

女の子たちは、ゆみに聞いた。

「ううん。あたしのお姉ちゃんは、たまにスカート履いてたけど、あたしは1回もスカートは履いたことない」

ゆみは、女の子たち皆に答えた。

「そうなんだ。可愛いのにもったいない」

「あたしは、学校が制服だったし、避難前はよくスカート履いていたよ」

あゆみちゃんが、ゆみに言った。

「スカートってパンツ見えちゃいそうだし」

「それは、ゆみちゃんの履き方が悪いんだよ」

「あたし、スカートって1回も履いたことないもん」

「それじゃ、避難が終わって、もし地上に戻れたら、あたしが、ゆみちゃんにスカートの履き方を教えてあげる!」

圭子が、ゆみに言った。ゆみは、嬉しそうに圭子ちゃんに頷いた。

少年盗賊団のリーダーにつづく

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