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多摩美術物語
今井ゆみの生い立ち、多摩美術大学、大学時代のストーリーです。
多摩美術物語
伊豆の旅
「今年は、伊豆へ行くぞ!」 お父さんは、リビングルームにいる家族皆に言った。 「伊豆?」 「そうだ。伊豆だ。下田の辺りから少しずつ北東へ移動していこうと思う」 お父さんは、お母さんに説明した。今年の夏休みのヨットでのクル […]
多摩美術物語
伊豆急
「お父さん、いってらしゃい」 ゆみは、出かけるお父さんと祥恵に手を振っていた。 「それじゃ、先に出発しているから」 お父さんは、自分の車の運転席に乗りこむと、お母さんに言った。祥恵は、お父さんの車の助手席に乗りこんだ。 […]
多摩美術物語
下田
「ゆみ、お寿司でいい?」 お母さんは、ホームの駅弁屋で弁当を手にしながら、ゆみに聞いた。ゆみは、お母さんに黙って頷いた。 「1人で全部食べきれないよ」 「ええ、お母さんと半分こしましょう」 お母さんは、ゆみに言った。 「 […]
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遅いヨット
「お父さん、今着いたの?」 ゆみは、下田港に到着したばかりのお父さんのヨットに乗ると言った。 「これでも結構がんばって走ってきたつもりなんだけどね」 お父さんは、ゆみに言い訳をしていた。ヨットは、風でしか走らないし、お父 […]
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伊豆稲取
「お父さん、今日はこれからどうするの?」 ゆみは、ヨットの中で朝ごはんを食べ終わったあと、お父さんに聞いた。 「今日は、これから稲取まで行こうと思う」 お父さんは、ゆみに言った。 「稲取?」 「稲取というのは、ここ下田か […]
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稲取アイス
「祥恵、あそこの左側の岸壁につけよう」 お父さんは、ヨットを操船しながら、祥恵に言った。 「了解!左舷につけるのね」 祥恵は、お父さんに言われて、船の左舷側にフェンダー、ヨットが岸壁にふれても大丈夫なように船体を守る防舷 […]
多摩美術物語
熱海の夜
「今日は、熱海に行くからな」 お父さんは、ゆみに言った。朝ごはんを食べ終わると、祥恵はヨットを出航する準備をして、稲取の港を出航していた。 「熱海!熱海ってお金持ちの人がいっぱいいるところ?」 ゆみは、お父さんに聞いた。 […]
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初島
「今日は、初島に行ってこようか」 お父さんは、ゆみに言った。朝ごはんを食べ終わると、祥恵はヨットを出航する準備をして、熱海の港を出航していた。 「初島ってなあに?島なの?」 「そうだよ。島だ。あそこに見えているだろう。あ […]
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島の食堂
「やっぱり、こっちの食堂のほうが良かったね」 「そうね。緊張しないで食べられるわね」 お母さんとゆみは、初島のちょうど観光船が到着する島の中心地にあった小さな食堂で、お昼ごはんを食べながら話していた。 「私は、さっきのホ […]
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花火大会
「うわ、きれい!」 お母さんとゆみは、お父さんのヨットのデッキの上で夜空を眺めていた。今夜は、熱海に来てくれた観光客のために、熱海市が港の海上で花火大会をやってくれていた。 「なんか、あたしたちだけ特等席みたい」 ゆみは […]
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伊東マリンタウン
伊東マリンタウンは、まだ設備が新しくリニューアルされたばかりの、静岡では割と新しめのマリーナ、ヨットハーバーだった。敷地内には、遊園地やちょっとした動物園、ショッピングスクエアなども併設されていて、ヨットやボートを泊めて […]
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遊園地
「どうだった?遊園地は」 お父さんは、ヨットに戻ってきた祥恵に聞いた。 「楽しかったよ。やっぱり、ゆみは一番動物園が気に入ったみたいだったよ」 「それは良かった」 お父さんは、祥恵に答えた。祥恵は、いつも自分が週末にヨッ […]
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江ノ島
「あれ、なあに?」 ゆみは、目の前にポツンと浮かんでいる島を指さして、祥恵に聞いた。 「あれは江ノ島」 祥恵は、ゆみに答えた。ゆみたちの乗るヨットは、伊東で一泊した後、次の日の朝になると、伊東港を出航していた。そして、し […]
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葉山マリーナ
「ゆみ。この服が似合いそうよ」 お母さんは、葉山マリーナのショップの中で、ゆみに声をかけた。それは、白と赤のストライプのワンピースだった。 「スカートはいや!」 ゆみは、お母さんが手にしているワンピースの下のほうがヒラヒ […]
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高級レストラン
「どこ行くの?」 ゆみは、お母さんに聞いた。 「お夕食を食べに行くのよ」 お母さんは、ゆみに説明した。ゆみたち家族4人は、葉山マリーナのポンツーンに停泊したヨットから降りると、出かける準備をしていた。 「あ、ちょっと待っ […]
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三崎へ
「昨日のごはん、美味しかった?」 お母さんは、ゆみに聞いた。ゆみは、小さく頷いていた。 「そう。それなら良かったわ」 お母さんは、言った。 「お母さんは、なんかあんまり食べた気はしなかったわ。なんだか高そうなお料理ばかり […]
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うらり
「今日も、ここらへんの美味しいレストランに行くの?」 ゆみは、お父さんに聞いた。 「残念ながら、うちは大金持ちじゃないから、ゆみのことをそんな毎日毎晩、高いレストランには連れていってあげられないんだよ。ごめんな」 お父さ […]
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横浜
「まだ眠いよ」 ゆみは、お母さんに言った。 「まだ眠かったら、こっちに来て、お母さんが支えてあげるから、ここで寝てもいいわよ」 お母さんは、ヨットのデッキの腰掛けているところから、ゆみに手招きした。ゆみは、お母さんの側に […]
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88 三浦半島
「今日は、どこに行くのかな?」 ゆみは、お母さんに聞いた。 「さあ、どこでしょう。ヨットに行ったらお父さんに聞いてごらん」 「うん。今日は近いところだといいな」 ゆみは、お母さんに言った。 タクシーが港に着くと、タクシー […]
多摩美術物語
87 城の中へ
「どこに行くの?」 ゆみは、お母さんと一緒に歩きながら聞いた。 さっきの隣りに泊まらせてもらったヨットを通らせてもらって、岸壁に上陸したゆみたちは、千葉の館山の町の中を歩いていた。 「お父さんに聞いてごらん」 「お父さん […]
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86 館山城へ
「さあ、出航するぞ」 元気のいいお父さんの声と共に、朝ヨットは勝山の港を出港した。 「セイル上げようか」 「ああ」 祥恵は、港を出ると、お父さんとヨットのセイルを上げ、ヨットは風をはらんで走りはじめた。 「もうじき着くよ […]
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85 次の港へ
「お父さんは、このまま船に戻るぞ」 ばんやのレストランでお酒が入って少し良い気分になっているお父さんが、祥恵に言った。 「私も行くよ」 祥恵は、お父さんの後についてヨットに戻る。 「祥恵、お父さんのことを宜しくね」 お母 […]
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84 民宿
「へえ、なかなかいい部屋じゃないか」 お父さんは、今夜ゆみとお母さんの2人が泊まる民宿の部屋を覗いて言った。 「お父さんも泊まる?」 ゆみは、お母さんに聞いた。 「お父さんは、船が港で大丈夫かどうか見なければならないから […]
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83 千葉の旅
「さあ、着岸するぞ!」 ヨットが千葉の港の中に入ると、お父さんは言った。祥恵は、着岸準備で忙しそうに船の周りにフェンダー、防舷材を付けたり、ロープを結んだりしている。 「お姉ちゃん、よく上手に結べるね」 ゆみは、慣れた手 […]
多摩美術物語
49 スタート!
「それでは皆さん、頑張って行ってきてください」 校長先生は、中等部の学生たち皆の前で、マラソンは体調とかが大事ですから気分が悪くなったらすぐに側にいる救護係に声をかけてください、など走っているときの注意点をさんざん述べた […]