作家オフィシャルサイト
ニューヨークピュアストーリー
日本の商社のニューヨーク支店に勤める隆が、妹のゆみとニューヨークで暮らす二人暮らしのハートフルホームコメディ。
ニューヨークピュアストーリー
大きなバス
「ゆみちゃん!」 ゆみは、学校の正門前に停まった大型の観光バスの横を、姉の祥恵とともに歩いていると、大型バスの中から呼ばれた。 「あ、まゆみ!」 ゆみは、大型バスの中から自分のことを呼んだのが、4組のまゆみだと気づいた。 […]
ニューヨークピュアストーリー
90 淳子の彼氏
「あれ、何も無くなちゃったな」 良明は、音楽室のある音楽棟の裏の草むらの中でどうしようか考えていた。 「ここに、お昼ごはん食べるところ作っておいたのに、何も無くなっている」 良明は、何も無くなってしまった草むらの中、ぽつ […]
ニューヨークピュアストーリー
89 浦賀へ
「今夜は、ゆみにうちのヨットで一番いい場所で寝かせてやるからな」 お父さんは、ゆみに言った。 「一番良い場所ってここ?」 「ああ、個室になっているし、一番ベッドらしいベッドだぞ」 お父さんは、ゆみに言った。 「そうかな。 […]
ニューヨークピュアストーリー
82 千葉の保田港
「まだ着かないの?」 横浜のヨットクラブを出航してから、もう何時間か経つのに、一向に千葉に到着する様子がなかった。対岸の千葉を目指すどころか、未だに横浜の横の方、観音崎とかいう岬を目指して、ヨットは走っているだけだった。 […]
ニューヨークピュアストーリー
81 夏のクルージング
「ほら、出かけるぞ!」 夏休み、今年のお盆休みは、ゆみがどこかに出かけたいというので、いつもはお父さん1人で出かけている夏のクルージングを家族皆で出かけられることになったので、お父さんは張り切っていた。 朝からクルージン […]
ニューヨークピュアストーリー
80 秘密基地
「先生、どこに行くの?」 屋上でお昼を食べ終わって、下の音楽室に戻るとき、馬宮先生だけが非常階段を降りると、音楽棟の裏手の細い道を進んでいく。 「ちょっと冒険してみようか」 馬宮先生は、少しニヤリと微笑みながら、ゆみたち […]
ニューヨークピュアストーリー
79 良明のお弁当
「夕子、お昼だよ」 夕子は、隣で一緒にお弁当を食べている美和に声をかけれらてハッと気づいた。 「え、そうだね」 夕子は、美和に言われて、自分の机の上のお母さんが作ってくれたお弁当を口に運びながら答えた。 「どうしたの?な […]
ニューヨークピュアストーリー
78 美香ちゃん
H・E・L・L・O ゆみは、ゆり子先生の家から兄の隆と一緒に自宅に戻ってからLINEで日本にいる美香にメッセージを送っていた。 「今日は、夕子さんって美香ちゃんがまだニューヨークに来る前に、ニューヨークに住んでいたお姉さ […]
ニューヨークピュアストーリー
77 ゆり子先生
「久しぶり!」 ドアを開けると、中山ゆり子は、夕子たちのことを出迎えた。 今夜の夕食は、夕子と夕子のお母さん、それに朋子、隆、ゆみの5人で中山ゆり子先生の家で食事をしようと招かれたのだった。 「朋子ちゃん、まだ身長のびた […]
ニューヨークピュアストーリー
76 なつかしい話
「なんだか久しぶりだな」 隆は、朋子や、朋子が連れて来た夕子と夕子のお母さんとともにリビングのソファに腰掛けながら話した。 「本当、久しぶりだよね!」 朋子も、隆に返事をした。 「どうぞ」 ゆみが、キッチンの奥からお盆に […]
ニューヨークピュアストーリー
75 ニューヨーク旅行
「夕子!」 夕子は、マンハッタンの街中を母と歩いているときに声をかけられた。 「あ、朋子!」 「久しぶりだね、夕子。おばさんもこんにちは」 朋子は、久しぶりに会う夕子を懐かしそうに見ていた。 「ごめんね。こんなマンハッタ […]
ニューヨークピュアストーリー
74 夏休みの計画
「ねえ、さっきの話って本当なの?」 祥恵は、1組の教室に向かって歩きながら、ゆり子に聞いた。 「さっきの話?」 「ほら、ゆみに話していたじゃない。ブータ先生が来たよとかって」 「ああ、あれね」 ゆり子は、祥恵に答えた。 […]
ニューヨークピュアストーリー
73 期末試験
「ああ、今週はつらいな」 祥恵は、夕食を食べ終わった後も、テーブルから離れるのがつらそうに、しばらく自分のテーブルの席に座ったままだった。 「なあに、そんなに期末試験がつらいの?」 お母さんは、つらそうな祥恵の顔を覗きこ […]
ニューヨークピュアストーリー
72 お父さんのヨット
「祥恵、お父さんとヨットに行くの久しぶりじゃないか」 お父さんは、土曜の夜、祥恵に言った。 「ずっと、日曜でも部活があったからね。久しぶりに、今度の日曜は部活無いから」 祥恵は、お父さんに答えた。 「ゆみは、連れていかな […]
ニューヨークピュアストーリー
71 南アルプス
「で、ちょっと皆、聞いてくれ」 大友先生は、クラスの皆に言った。 それは、音楽室での合唱の授業が一通り早めに終わった後のことだった。 「今年の夏の登山だが、南アルプスを登ることになった。去年、学校の施設がある清里村の山を […]
ニューヨークピュアストーリー
70 緊急会議
「ここは、こうして擦ればツルツルに平らになるだろう。さすがに、あの大きな機械は、身体の小さいゆみには危険だから、男子に切ってもらおうな」 「はい」 ゆみは、木工室で先生に木工の道具の使い方を教えてもらっていた。 星野の自 […]
ニューヨークピュアストーリー
69 自殺願望
「ね、やめなよ。死んだら終わりだよ」 「そうだよ。もう飛び降りなくたって良いじゃん」 4組の廊下の向こう、非常階段の先から女の子の声がしていた。 ゆみは、放課後に教室で姉の部活が終わるのを1人で待っていた。特に読む本が無 […]
ニューヨークピュアストーリー
68 ママのエプロン
「今日の家庭科では、エプロンを作ります」 ゆみは、家庭科の授業に出ていた。 家庭科の教室は、音楽室に行く途中の小等部の前にあった。家庭科の授業に参加しているのは、ゆみたち4組の女子だけだった。4組の男子たちは、女子が家庭 […]
ニューヨークピュアストーリー
67 栗原淳子
「彼女は栗原淳子といいます」 7年の終わりの頃に、1組に良明という転校生がやって来た。そして8年生になってからも転校生がまた1人やって来た。 といっても、彼女が転校してきたことを、4組のゆみは大分経ってから知ることになる […]
ニューヨークピュアストーリー
66 ブータ先生からの手紙
「ゆみちゃん」 ゆり子は、4組の教室に行くと、ゆみの姿を見つけて声を掛けた。 「あ、ゆり子お姉ちゃん」 ゆみは、ゆり子に返事した。 中等部の生活も慣れてきて、ほかのお友だちとは、麻子とかって普通に呼び合うようになっていた […]
ニューヨークピュアストーリー
65 拝啓ゆみ様
「え、なに?」 ゆり子は、朝起きてタンスの上を見ると、そこに置かれているブータ先生のぬいぐるみがなんか手紙を口に加えていた。 「だれ、ブータ先生に手紙なんか加えさせたの?」 ゆり子は、ベッドから起き上がると、タンスの上の […]
ニューヨークピュアストーリー
64 久美子
「ゆみちゃん、ここ教えてくれる?」 ゆみのすぐ前の席に座っている久美子が、数学の時間、ゆみに質問してきた。 「ここは、こうなっているから足してあげると、ちょうど良くなるの」 ゆみは、さっき先生が教壇で話していたことを少し […]
ニューヨークピュアストーリー
63 文通
「ゆみちゃん、本当にいいの?」 ゆり子は、ブータ先生のことを受け取りながら、ゆみに聞いた。 「・・・」 「本当は寂しいんでしょう?私に遠慮して、ブータ先生のことを私に返そうとしているんでしょう?」 ゆり子が聞いた。 違う […]
ニューヨークピュアストーリー
62 奇怪な行動
「ね、ブータ先生。今日は学校でいったい何をしていたの?」 ゆみは、夜寝る前に、自分のベッドの中でブータ先生と寝ながら聞いた。 「・・・」 ブータ先生は、何も言わない。 「どうしたの?もしかして、お話ができなくなってしまっ […]
ニューヨークピュアストーリー
61 8年のブータ先生
「あれ、ゆみ。ブータ先生のこと忘れてる」 祥恵は、1組のゆみの座っていた机の上に置かれているブータ先生のぬいぐるみに気づいて言った。 「本当だ。後で、私が届けておくよ」 ブータ先生の元持ち主のゆり子が、祥恵に言った。 「 […]
ニューヨークピュアストーリー
60 クラス替え
「お母さん、本当にやめてよ!」 祥恵は、お母さんに怒っていた。 「どうして?ゆみちゃんがかわいそうじゃない」 お母さんは、祥恵に返事した。 「だからって、私のことも4組に変えさせようと先生に直談判するなんて、私が恥ずかし […]
ニューヨークピュアストーリー
59 バラバラ
「学校からお手紙が来ていたわよ」 お母さんは、夕食のとき、祥恵とゆみに言った。 「え、何の手紙?」 祥恵は、お母さんに質問した。 「学校の進級の件みたいよ」 「進級って?もしかして留年とか」 「そうね、祥恵は自分が留年す […]
ニューヨークピュアストーリー
58 進級会議
「ああ、結局、7年の成績は、さんざんだったな」 祥恵は、いつもの百合子たちと話していた。 3学期の期末試験が終わって、放課後に教室の後ろのところ、そこに置かれているシングルソファに集まって、シングルソファに5、6人で腰掛 […]
ニューヨークピュアストーリー
57 良明の秘密
「夕子、久しぶり」 朋子は、インターネットのパソコン越しに夕子に声をかけた。 「久しぶり。どう、その後のニューヨークは?皆、元気にしている?」 夕子は、朋子に質問した。 「そうね。あ、春子のこと覚えている?」 「ああ、よ […]
ニューヨークピュアストーリー
56 転校生
「彼の名前は、良明といいます」 佐伯先生は、1組の生徒たちに新しい転校生を紹介した。転校生は、グリーン色に胸と背中に大きくナンバーの入ったトレーナーを着ていた。 「彼は、ずっとお父さんの仕事の関係で、ニューヨークに住んで […]