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ニューヨークピュアストーリー
日本の商社のニューヨーク支店に勤める隆が、妹のゆみとニューヨークで暮らす二人暮らしのハートフルホームコメディ。
ニューヨークピュアストーリー
弁当仲間
「ああ、なんであんなところに栗原淳子がいたんだ」 良明は、中等部校舎1階の窓から表に出た後で、つぶやいた。窓から外に出ると、そこには、たくさんの今は使われていない学校の机と椅子が積み重ねられていた。その積み重なった机の上 […]
ニューヨークピュアストーリー
ソーラン節
「今日から2学期はソーラン節の練習だ」 体育の椎名先生は、体育の時間に4組の生徒たちに説明していた。 「音楽の授業でも聞いたかもしれないけど、今年の合唱祭では、合唱と踊りを一緒にやることになった。ソーラン節というのは、北 […]
ニューヨークピュアストーリー
湯川あさこ
岩本たちが太鼓を叩き、それに合わせて、4組の皆はソーラン節をマットの上で踊っていた。ソーラン節は、普通に夏の盆踊りのようなものに思えるかもしれないが、踊ってみると足腰にグッと力を入れなければならなく意外に体力が必要な踊り […]
ニューヨークピュアストーリー
狭山湖マラソン
最近は、またブータ先生が、ゆみの側に戻ってきてくれるようになっていた。 「もう、こっちの世界に来ていても良いんだ?」 ゆみは、ブータ先生に聞いた。 「ああ、おばあちゃんもおかげさんで、すっかり元気になってな。それよりも、 […]
ニューヨークピュアストーリー
二連覇
「もう、皆あつまっているよ!」 「4組、向こうだってよ」 まゆみと麻子は、4組の皆が会場の奥のほうに整列しているのを発見して、叫んだ。 「ゆみ、何をしているの?行くよ!」 ゆみは、麻子たちに呼ばれて、祥恵の手を離すと、そ […]
ニューヨークピュアストーリー
お母さん見学
「お母さん、お姉ちゃんってすごいんだよ!優勝したんだよ!」 ゆみは、マラソン大会から家に帰ると、すぐにお母さんに報告していた。 「だから、ゆみ。なんで、あんたが走ったわけでも無いのに、そんなお母さんに自慢しているのよ」 […]
ニューヨークピュアストーリー
9年生の進路
ゆみは、現在8年生だ。来年の4月になったら、9年生になる。9年生というのは、日本風にいえば中学3年生のことだ。ということは、9年生になったら、その次は高校生、中学生は卒業ということになる。 「ゆみも、祥恵も、明星学園は高 […]
ニューヨークピュアストーリー
合唱祭
「明日は、ゆみは午前じゃなくて午後にピアノを弾くのか?」 お父さんは、夕食のときに、ゆみに聞いた。 「ううん。午前中にも、翼をくださいを弾くよ」 ゆみは、答えた。 「あ、でも午後の方が弾く数は多いかも。午前中はどちらかと […]
ニューヨークピュアストーリー
ピアノとソーラン節
「あら、ゆみちゃん」 お母さんは、合唱祭でゆみが出てきたとき、小さくつぶやいた。 ずっと、7年生の子たちが合唱しているところを聴いて感動していたあとで、次は8年生ですのアナウンスと共に4組の子たちがステージに並んだ。その […]
ニューヨークピュアストーリー
撮影鑑賞会
「お父さん、めちゃめちゃ恥ずかしかったよ」 祥恵は、学校から戻ると、お父さんに言った。 「え、何が?」 「何が、じゃないって。ずっとステージの前で写真を撮っていたでしょう」 「ああ、いけないのか?」 お父さんは、祥恵に言 […]
ニューヨークピュアストーリー
期末試験そして
「ああ、憂鬱」 学校の期末試験が近づいてきた。祥恵は、いつも試験前になると話してしまうセリフを、今回も同じようにつぶやいていた。 「なんか試験無ければいいのにね」 「今回、私、めちゃ世界史が難しそう」 美和やゆり子たちも […]
ニューヨークピュアストーリー
天文部
「ああ、それは・・」 ニューヨークから戻ってきて、明星学園の1組になって、もう1年以上経つというのに、なかなか1組のクラスの仲間と馴染めない良明だった。 「ニューヨークの学校だったら、ゆみちゃんが側にいてくれたのに」 そ […]
ニューヨークピュアストーリー
新入部員
「あ、いや、良明たちを誘っていたんだけど・・」 大友先生は、まゆみに返事した。 「先生って、天文部の顧問だったんですか?」 まゆみは、大友先生に聞いた。 「ああ、小汀と田中に天文部をやりたいと言われて、顧問になったんだ」 […]
ニューヨークピュアストーリー
ユーレイ部員
「さて、ようやく部員も7人になって部活動らしくなってきたな・・」 その日の放課後、大友先生は音楽職員室に集まってきた天文部の皆に言った。部員ではないのだが、麻子やまゆみも行くというので、ゆみも一緒にくっついてきていた。ど […]
ニューヨークピュアストーリー
春の旅行
「ああ、やっと期末終わった・・」 祥恵は、3学期の期末試験が終わって、美和たちとホッとした表情をしていた。 「さあ、春休みだね」 ゆり子も、ホッとした表情をしながら祥恵たちに言った。 「春休みが終わったら、私たちもいよい […]
ニューヨークピュアストーリー
ママ友
「お母さん、ちょっと出かけてきますね」 お母さんは、春休みで家にいる祥恵とゆみに告げると出かけていった。 「春休みなのに、大変だね」 祥恵は、お母さんに言った。 「だって、仕方ないでしょう。あなたたちの学校のためなんだか […]
ニューヨークピュアストーリー
9年生のはじまり
今日からは、祥恵もゆみも9年生だった。 「行ってきます!」 「久しぶりの学校、がんばって」 お母さんは、学校へと出かけていく祥恵とゆみに声をかけた。 「ゆみさ、そろそろブータ先生を学校に連れて行くのは卒業した方が良いんじ […]
ニューヨークピュアストーリー
木工の授業
「あ、淳子さん」 ゆみは、木工室の前を麻子と歩いていたときに木工室に入っていく淳子の姿を見つけた。 「本当だね、行ってみようか」 ゆみと麻子は、木工室に入っていった淳子の後ろ姿を追っかけて、中に入ってみた。 「あ、彫刻を […]
ニューヨークピュアストーリー
ソーラン節体操
「マットを敷いておくように」 湯川あさこは、体育の椎名先生に言われて、体育館にマットを敷いていた。 「あたし、手伝う」 ゆみは、湯川あさこが1人でマットを敷いているのを見て、側に寄ってきた。 「ゆみは大丈夫だから、奥の椅 […]
ニューヨークピュアストーリー
夏の尾瀬山
「合唱祭の曲目も決まって、ソーラン節も決まり、卒業制作の木工部屋とインテリア制作も決まり、今年は9年生、中等部の最後の年のイベントが続々と決まってきていると思うが」 大友先生は、4組の音楽の授業のあと、余った時間をそのま […]
ニューヨークピュアストーリー
はじめての登山
「お山、俺たちも登れるんだな」 ブータ先生は、学校から帰りの電車の中で、ゆみの膝の上で屈伸運動をしながら言った。 「え、ブータ先生も尾瀬に来るの?」 「はぁ?なんだ、おいらは行ってはいけないのか?」 「ううん。そんなこと […]
ニューヨークピュアストーリー
部屋割り
「どうする?」 ゆみは、麻子たちと話していた。 これから4組はホームルームが始まるので、音楽室に集まっていた。4組の担任は音楽の大友先生なので、4組ではホームルームを教室でなく音楽室で行うことも少なくなかった。 「ゆみ。 […]
ニューヨークピュアストーリー
野口先生
「どうしようかな?」 ゆみは、放課後に何をしようか迷っていた。 今日は、放課後に祥恵は女子バスケ部があるので、体育館に行ってしまっていた。ここ最近、いつもは木工室に行って、卒業制作の木工を作っているのだが、今日は木工の先 […]
ニューヨークピュアストーリー
小汀くん
「あれ、何をやっているの?」 ゆみが野口先生と図書室でおしゃべりをしていると、後ろから声をかけられた。 「あ、小汀くん」 ゆみが振り返って、答えた。 「あの、これ、ありがとうございました」 小汀は、大量に抱えた本を、野口 […]
ニューヨークピュアストーリー
迷子のゆみ
「あの、ゆみを知りませんか?」 祥恵は、職員室の前にいた宮本先生に声をかけた。 「え、ゆみちゃん?ホームルームのときには一緒だったんだけど、もう帰ったのじゃないかしら?それとも、麻子ちゃんが、湯川さんたちと一緒にソーラン […]
ニューヨークピュアストーリー
夏休み前
「ああ、しんど~」 祥恵は、ため息をついていた。 もうじき夏休みだというのに、夏休み前のため息というのは、いつもの1学期最後にある期末試験のことである。 「あなた、いつも試験前になると、ため息ついているわね」 お母さんは […]
ニューヨークピュアストーリー
ゆり子の家
「ああ、もう良いから。お願い、その話はしないで~」 祥恵は、ゆり子に言った。 今は夏休み、ゆみも、祥恵も、ゆり子も期末試験が終わって夏休みの真っ最中だった。 「やっぱり、祥恵も、あまり良くなかったか」 ゆり子は、祥恵に言 […]
ニューヨークピュアストーリー
祥恵の進路
「ねえ、ゆみちゃん」 ゆり子のお母さんは、ゆみに言った。 「おばさんのお手伝いしてもらえる?」 「はい」 ゆみは、ゆり子のお母さんにくっついて2階に上がった。祥恵とゆり子が、中等部を卒業後の進路のこととかお話しているので […]
ニューヨークピュアストーリー
マイホーム
「お家に帰ってきたね」 ゆみは、懐かしそうにお母さんに言った。 「久しぶりのお家ね」 お母さんも、懐かしそうだった。 「え、どこに行くの?」 せっかく、お家のすぐ側まで帰ってきたというのに、車を運転しているお父さんは、家 […]
ニューヨークピュアストーリー
尾瀬旅行
「ゆみ、良かったわね」 お母さんは、リュックを背負っているゆみに言った。 「お医者さんが特に問題ないですって」 その日の朝は、学校の登山イベントで9年生たちは尾瀬山に出発する日だった。学校の正門前に停まっている数台の大型 […]