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第二のガミラス星
「デスラー総統、お久しぶりですね」
ヤマトの甲板に立っている古代進は、すぐ横に横付けしているデスラー艦の甲板にいるデスラー総統に声をかけた。
「ああ、お久しぶりだな。古代」
デスラー総統も、ヤマトの古代進に返事した。
「今回は、我々の救助依頼に応えて、はるばるイスカンダル星まで救助に来てくれてありがとう」
デスラー総統は、古代進にお礼を言った。
「いえいえ、イスカンダルには、我々地球人も大変世話になっていたので、その危機を知らせてくれて、こちらこそありがとうございます」
「それにしても、相変わらずヤマトには優秀な乗組員がたくさんいるようで・・まさか、イスカンダル星の自爆の中から小さな艦載機一機でスターシャを救出するとは」
「ああ、あれは、うちの、今回から乗ったばかりの新人でして・・」
古代進が、デスラー総統に答えた。
「新人か、さすがヤマトは新人さんも素晴らしい実力をお持ちで」
「いや、それほどでも」
古代進は、デスラー総統に褒められて少し照れていた。
「それで、デスラー総統。君らは、これからどうするのですか?」
「我々は、今回の件で名実ともに母星を完全に失った。これから、第二のガミラス星となりうる星を探して旅立とうと思う。今度の旅は少し長いものになりそうだが」
デスラー総統の、これから自分たちが探さなければならない第二の故郷となる星探しの困難を考えながらの返答は、少しつらそうだった。
「大丈夫ですよ。きっとガミラスにぴったしの良い星が見つかります。見つかることを我々ヤマト乗組員一同も願っています」
「ありがとう」
古代進の言葉に、デスラー総統は感謝の意を唱えた。
「長い旅には、なるかもしれないが、我々も必ず良い星を見つけて第二のガミラスを繁栄させたいとは思う・・」
「ええ」
「スターシャは、これから地球人の伴侶さんと地球で暮らすこととなると思うが。くれぐれもスターシャのことを宜しく頼む」
「ええ。お任せ下さい。スターシャの伴侶は、僕の兄なので、兄はきっとスターシャのことを一番に幸せにしてくれると信じていますよ」
「そうか。古代の兄ならば安心だな」
いつも仏頂面のデスラー総統が古代進に向かって少しはにかんでみせた。
「それでは、我々は、そろそろ出発したいと思う」
「ええ。私たちも地球に帰還します」
古代進は、デスラー総統に答えた。
「第二のガミラス星がうまく見つかったら、ヤマトにも必ずお伝えするよ」
「ええ、いつかヤマトで新しいガミラス星を訪れる日のことを楽しみにしてます」
「ああ、歓迎するよ」
デスラー総統は、答えた。
「私たちの地球にも、時間があったら遊びにいらして下さい。我々、地球人一同もガミラスの皆さんを歓迎いたしますので」
「ありがとう」
デスラー総統は、甲板からデスラー艦の艦内へと戻っていった。
古代進は、デスラー総統が艦内に見えなくなるまで見送ると、自分もヤマトの甲板から艦内、第二艦橋へと戻っていった。
「古代、お帰り」
第二艦橋に戻ってきた古代進に、島大介が声をかけた。
「ガミラスは旅立ったみたいだな」
島大介は、第二艦橋の窓から見えるガミラス艦隊の後ろ姿を見送りながら言った。
「ああ、デスラー総統は、これから第二のガミラス星探しだって」
「大変だな」
島大介は、古代進に答えた。祥恵と母の姿が見えなかった。
「あれ、2人は?」
「ああ。大統領が貧民の解放宣言をしてな。妹さんのいる医務室に戻っていったよ」
「そうか、良かった」
古代進は、祥恵のことを祝福した。
「それじゃ、俺たちも地球に戻ろうか」
「ああ」
島大介は、ヤマトのステアリングを回して、ヤマトを180度反転させ、地球に向けて発進した。
ただいま!につづく