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お姉ちゃん
「古代君!古代君!お願い、ヤマトを地球に戻すのちょっとだけ待ってくれる!?」
森雪は、第二艦橋に入ってくると、艦長席の古代進に話した。
「なんで?」
古代進は、森雪に聞き返した。
「もうすぐ地球に戻るの?」
「え?いいえ、今はスターシャさんたちの脱出船がヤマトに到着するのを待っているところだけど」
古代進は、森雪に答えた。
「スターシャさんたち到着したらすぐに出航する?」
「いや、特にすぐってことは無いのではないか。ガミラスの、デスラー総統とも挨拶もしなきゃならないだろうし、そんなすぐってことはないだろうけど」
「ああ、そう。それは良かった!」
森雪は、古代進の返事を聞いて、とりあえずは安心していた。
「なんで、そんなことを気にしているんだ?」
今度は、逆に古代進が、森雪に質問した。
「え、それはね・・」
森雪は、途中まで話し出してから、話を止めた。もしかしたら、ゆみが勝手にコスモタイガーで出撃したなんて話をしたら、古代君は怒るんじゃないかな。また、ゆみはヤマトから降りろとか言い出すんじゃないか、もしかしたらイスカンダル星に置いてきぼりにしちゃえとか言ったらどうしようと心配になったのだった。
「どうしたんだ?」
古代進は、森雪に話の先を話すように突っ込んだ。古代進も、森雪が何か言い出しにくいことを話そうとしているということには気づいたようだった。
「ええ、っとね。あのね・・」
森雪は、さっき出かけに、ゆみから預かっていてと言われて、預かったゆみのネックレスを自分の手の中でいじりながら何から話し出そうかと考えていた。
と、そのとき、
「え!なんで、なんで雪さんが、そのネックレスを持っているの?」
祥恵が、森雪の手にしているネックレスに気づいて、2人の会話に割って入った。
「え?」
森雪は、祥恵の方を振り向いた。
「イスカンダル星からの脱出船が格納庫に無事着艦しました」
格納庫の田中から第二艦橋の相原に連絡が入った。
「ただ、スターシャさんは、この脱出船には乗っていません」
田中は、相原に告げた。
「乗っていない?乗っていないってどういうことですか?」
古代進が、相原たちの会話に割って入って、田中に訪ねた。
「この脱出船に乗っていたのは、古代守さんと、古代守さんとスターシャさんの間に生まれたお子さんのサーシャさんだけです」
田中は、古代進に答えた。
「え、2人だけ?」
古代進は、田中に聞き返した。
「田中さん、そのことは私が説明しましょう」
古代守が、田中と通信を代わった。
「進、久しぶりだな」
「兄さん」
「進、スターシャだが、どうしても自分の星の資源、鉱物が戦争に、人殺しの道具に使われることは許せないようで・・。その・・スターシャはイスカンダル星、自分の星と運命を共にする決断をした」
古代守は、弟の古代進に報告した。
「それで、スターシャは、俺に俺たち2人の娘のサーシャの運命を託して、脱出船で俺たち親子を地球に送り出してくれたんだ」
「それじゃ、スターシャさんは・・」
「星と運命を共にする」
古代守は、静かに言った。
「そんな・・」
古代進も、その後の言葉が続かないでいた。
「え、そうか!ゆみちゃんよ!ゆみちゃんは、このことを事前に感じ取っていたのよ。だから、ゆみちゃんはスターシャさんを迎えに行ったのよ!」
森雪が興奮して、ゆみから預かったネックレスを古代進に見せながら叫んだ。
大切な妹につづく