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晩餐会
「さて、進。200年後の地球の晩餐会に出席するメンバーを決めてくれるか」
艦長である古代守は、弟の古代進に言った。
「わかりました、兄さん。晩餐会に参加するメンバーを、こちらで招集します」
古代進は、兄であり艦長の古代守に返事した。
「とりあえず兄さんは出席しますよね?」
古代進は、艦長の古代守に訪ねた。
「いや、私は艦長だし、こちらで何かあるといけないから、ヤマトに残っていようと思う。あと航海長の島くん、君もヤマトの操船があるから残ってくれるか」
「了解しました」
島大介は、艦長に答えた。
「それでは、私と、あと祥恵くんも一緒に行こうか」
「はい」
祥恵は、古代進に返事した。
「お姉ちゃん、行かないで」
それを聞いて、ゆみは、祥恵に言った。
「どうしてよ?お仕事だもの」
「どうしても行ったらだめ!だって、これは敵の罠だもの」
ゆみは、祥恵にお願いした。
「罠?なによ、罠って」
祥恵は、不思議そうに、ゆみに質問した。
「だって、あいつの言っていることって全部うそじゃん。あいつ、地球の総司令官とか言っているけど、地球人じゃないし。200年後の地球とかって大嘘じゃない。地球って星が、あんなに骸骨みたいに骨、骨しているわけないでしょう」
ゆみは、祥恵に言った。
骨、骨?祥恵は、目の前に見えている200年後の地球を見直したが、その星は、どう見ても青々と緑が茂っていて、青い海も流れているいわゆる普通の地球の姿だった。
「骨、骨って何を言っているのよ?」
「お姉ちゃん、わからないの?あの地球って、人工的な鉄の骨組みだけで出来ている骨、骨している星にしか見えないでしょう?」
ゆみは、目の前の地球を見ながら、祥恵に説明した。が、祥恵には、目の前の地球の姿は、普通の青い地球にしか見えていないらしくて、ぜんぜん理解してもらえなかった。
「あんたが何の話をしているのか、さっぱりわからないけど。ここは私たち大人で考えているんだから、子どもは子どもらしく下のフロアに行って、竜くんやあゆみちゃんたちと遊んでいらしゃい!」
祥恵は、ゆみのことを怒鳴った。
「だって、お姉ちゃんがあの星に行くとか言うから。お姉ちゃんは、ぜったいにあの星に行ったらダメだからね」
ゆみは、再度祥恵に目の前の星に行かないでくれとお願いした。が、祥恵は、文句を言っているゆみのことを恐い顔して睨んでいた。
「ゆみちゃん、ゆみちゃんは私と下のフロアに行っていようか」
このままでは兄弟喧嘩しかねない状況に、森雪が助け船を出してくれた。
「ほら、下の階に行こうね」
森雪は、ゆみの手を引っ張って、第二艦橋から出て行こうとしていた。
「いやだ!お姉ちゃんも一緒に行く!」
ゆみは、森雪に手を引かれながらも、祥恵の側に居残ろうと必死に踏ん張っていた。しかし、森雪に抱き上げられると、そのまま第二艦橋から追い出されてしまった。
「いやだ!お姉ちゃんともう別れ別れになんかなりたくないから!」
ゆみは、森雪に抱き上げられながらも大声で文句を叫んでいた。森雪に抱かれて、連れて行かれながら、レーダー席のサーシャの脇を通りすぎた。
「ゆみちゃん、大丈夫よ。あんたのお姉ちゃんは、私が必ず無事にヤマトに戻すから」
サーシャは、口にこそ出していないが、自分の目で、視線だけで、ゆみに向かってそう訴えていた。ゆみも、サーシャの方にチラッと視線を落とすと、目で姉のことをお願いしますと訴えていた。
「あと、真田さん。200年後の地球の様子を科学者の目で視察してもらいたいので、一緒に晩餐会に出席してもらえますか?」
ゆみが森雪に連れられて第二艦橋を出て行った後で、古代進は真田に聞いた。
「わかった。同行しよう。後、分析とかするのにアナライザーも同行させよう」
「了解です」
古代進は、真田に答えた。
「あと機関長はヤマトに残っていなければならないから、代わりに太助を連れて行こう。あとは・・」
古代進は、晩餐会に出席するメンバーを決めていた。
「あの、私も連れて行ってください」
サーシャが、古代進に頼んだ。
「君もか?君は、ヤマトで待機してくれていた方が・・」
古代進がサーシャに答えたが、サーシャは行きたがっていた。
「わしの助手として連れていっても良いかな」
真田が、古代進に姪の澪のことを連れていきたいと申し出たので、サーシャは晩餐会に出席できることとなった。
ほかにも何名かのヤマト乗組員が晩餐会の出席メンバーとして招集され、彼らは格納庫に停められている大統領専用機に乗って、目の前の200年後の地球に向かってヤマトを出た。
地球にようこそにつづく