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目の見えないお友だち

え~ん・・。

クラスの男の子、川上と鶴見に突き飛ばされたゆみは、川上と鶴見が家に帰ってしまった後も、まだ壁際に寝転がった突き飛ばされたまま、泣いていた。

「ゆみちゃん、ゆみちゃん、そこにいるの?」

かおりは、ゆみの姿を探して、キョロキョロしながら話しかけていた。しばらく泣いているだけだったゆみも、ようやく泣き止んだ。

「ゆみちゃん・・」

ゆみは、かおりとはあまり話したことが無いのだが、とても優しい声で話しかけてくれていた。泣き止んだゆみは、さっき突き飛ばされた床から起き上がって、かおりに答えた。

「はい・・」

ゆみは、初めてかおりとお話をした。

「ゆみちゃんで良いんだよね」

かおりは、目が見えないので手で手探りして、ゆみの姿を探しながら話しかけていた。

「あたし、ここにいるよ」

ゆみは、目の見えない子にどうやって合図をしたら良いのか迷いながら、かおりの前に自分の腕を伸ばした。

「あ、ゆみちゃんだ」

かおりは、ゆみが伸ばした腕を掴みながら、答えた。

「ゆみちゃん、大丈夫?あたしのことを助けてくれたんだよね」

かおりは、ゆみに言った。

「ぜんぜん助けられていないんだけど、反対に男の子たちに、あたしがいじめられちゃった・・」

すっかり泣き止んだゆみは、苦笑しながらかおりに返事した。

「ううん。大丈夫?怪我をしていない?」

かおりは、ゆみの身体をあっちこっち腕で触って確認しながら言った。

「大丈夫。ちょっと、ズボンの裾が破れちゃったぐらい」

ゆみは、川上に倒されたときに、壁にぶつかって破けてしまった自分の着ているズボンの裾を、かおりの側に持っていきながら答えた。

「あ、本当だ」

かおりは、ゆみの足、ズボンの裾を触って破けているのを確認しながら答えた。

「あとで、先生が来たら、あたしが言ってあげるね」

かおりは、ゆみの頭を撫でながら言った。

「ううん、大丈夫よ。ほんの少し破けちゃっただけだから」

ゆみは、答えた。その後、どうしたら目の見えない人とうまく話せるのか良くわからずに、かおりの前の空いている席に腰掛けていた。かおりも、目の前にいるゆみに、どうお話して良いか迷っているみたいで、しばらく2人は黙ったまま、見つめ合っていた。

「ね、ゆみちゃん」

かおりは、ゆみに声をかけた。

「ゆみちゃんって言うんだよね?」

「うん」

ゆみは、かおりに頷いた。

「ゆみちゃんって、年齢はまだあたしよりもうーんと年下なんだよね。でも、お勉強ができるからって同じ中等部のクラスになったんでしょう?」

「うん。飛び級って言うんだって」

ゆみは、かおりに答えた。

「うわ。すごいんだ!お勉強できるんだね」

「そんなことないよ」

ゆみは、照れくさそうにかおりに返事した。

「お姉さんは、かおりちゃんで良いの?」

「そうよ」

そう言って、かおりは、ゆみの手をつないでニッコリ微笑んでみせた。ゆみも、かおりに腕を掴まれて嬉しそうに微笑んでいた。

「ゆみちゃん。かおりとお友だちになってくれる?」

「うん。あたしこそ、よろしくお願いします」

ゆみは、かおりに返事した。それから、しばらく2人は、佐伯先生が迎えに来るまでの間、楽しそうにおしゃべりしていた。

「ごめん、ごめん。遅くなってしまった」

佐伯先生が、教室にかおりのことを迎えに来た。そのときには、ゆみは、すっかりかおりと仲良しになってお話をしていた。

「おや、2人はお友だちになったのか?」

佐伯先生は、仲良くおしゃべりをしていたゆみとかおりを見て、言った。2人は、嬉しそうに佐伯先生に頷いた。

「それじゃ、お母さんが表まで迎えに来ているから行こうか」

佐伯先生は、かおりの車椅子を押しながら言った。

「ゆみちゃん、バイバイ」

「かおりちゃんもバイバイ」

2人は、お互いに手を振って、別れた。かおりは、お母さんが迎えに来たらしく、佐伯先生に押されながら教室を後にしていた。ゆみは、まだ祥恵がバスケ部から戻ってきていないので、教室に1人残ることになってしまった。

かおりが帰ってしまってから、しばらくして祥恵が教室に走って戻ってきた。

「ゆみ、ごめんごめん。遅くなちゃったね」

祥恵は、教室に入るなり、ゆみに謝った。

「お姉ちゃん、遅い」

ゆみは、祥恵に文句を言った。

「はいはい、さあ、帰りましょう」

祥恵は、ゆみの手を引いて、教室を出て家路についた。

「お母さん、今日はね、ゆみちゃんとお友だちになれたの」

かおりは、帰りの車の中で、放課後にゆみといっぱいおしゃべりをした話を運転しているお母さんに話していた。そして、川上たちから助けてくれようとして、ゆみが川上に床に倒されてしまったことも報告していた。

「あらら、それで、ゆみちゃんって女の子は怪我をしなかったの?」

「うん、大丈夫だったみたい。少しゆみちゃんのズボンの裾が破かれちゃったみたいなんだけどね」

かおりは、お母さんに報告した。

かおりのお母さんは、次の日、佐伯先生に会ったとき、クラスの男の子たちに、かおりと、それを助けようとしてくれたゆみのことをいじめられたことを報告していた。

「そうですか。そんなことがあったんですか。私の方でも、ちょっと調べてみましょう」

佐伯先生は、お母さんから報告を受けて答えていた。

「ただ、そのおかげで、ゆみちゃんって女の子と仲良くなれたことについては、うちのかおりも大変喜んでいましたけど」

「ゆみちゃんっていうのは、年齢はずっと年下なんですけど、飛び級で中等部に進級してまして、兄弟のお姉さんも同じクラスにいるんですよ」

佐伯先生は、かおりのお母さんに説明していた。

いじめ会議につづく

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