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地球に帰還

「ゆみ・・」

「お姉ちゃん」

ゆみは、医務室のベッドで目を覚まして、目の前にいる祥恵に返事した。医務室で佐渡先生に手当てをしてもらったゆみは、ベッドの上で目覚めたのだった。

「全く!あんたは、また無茶して」

祥恵は、ゆみの頭を小突きながら、ゆみが無事目覚めたことを嬉しそうに怒っていた。

「お姉ちゃん。あたし、今度地球に戻ったら、もう宇宙にはぜったい行かないよ。地球で普通に大学に通って暮らすから」

ゆみは、祥恵に約束した。

「当たり前です!例え、あんたが宇宙に行くって言っても、私がもう絶対にあんたのことは宇宙には出しませんから」

祥恵は、ゆみに言った。

「お母さん、私も、ヤマトが地球に戻ったら、もう宇宙には出たくない。ゆみちゃんと一緒に地球で暮らしたい」

サーシャは、お母さんのスターシャに言った。

「ええ、それがいいわ。お母さんも地球の大気がどうとか関係なしに、サーシャ、あなたと一緒に地球で暮らすわ」

「お父さんは?」

「そうだな。お前たち家族と一緒に地球でずっと暮らそう」

古代守も、サーシャに答えた。

そして、宇宙戦艦ヤマトは暗黒星雲の黒い星雲の中を再び抜けて地球のある銀河系の側に戻ってきた。暗黒星雲の中、200年後の地球で見た映像のように、暗黒星雲の中でヤマトが大破することも無かった。

「地球に戻ってきたな」

「ああ、今度はしばらく地球で平和に過ごせるのかな」

ヤマト乗組員たちは、戻ってきた地球を見つめながら話していた。

「ヤマトの諸君、お帰り」

地球政府の大統領から地球に戻ってきた宇宙戦艦ヤマトに無線が入った。その後、ヤマトは、地上の管制官の指示で大気圏に突入すると、地上の港に着艦した。

もう既に、地球防衛軍の地上部隊が、地球に残存していた暗黒星雲の人たちを退治してしまった後のようで、ヤマトが戻ってきた地球には再び平和が訪れていた。

「ゆみ!見て!合格したよ!」

サーシャは、ゆみの住んでいる東松原のお父さんのマンションの一室にやって来て、ゆみに大学の合格通知を見せていた。

「良かったね!おめでとう!」

ゆみは、サーシャから見せられた合格通知を見て言った。ゆみの通う大学には、医学部のほかに一般学部、経済学部や文学部などそれぞれの学部があった。宇宙や自然環境の好きなサーシャは、環境学部を受験し、見事に合格したのだった。

「明日から一緒の大学に通えるね!」

ゆみとサーシャは、手を取りあって喜んでいた。暗黒星雲が攻撃してきたことで延期になっていた大学の入学式が、いよいよ明日開催されるのだ。その前に、特別枠で受験したサーシャも見事に大学に合格して、一緒に入学式を迎えられることになったのだった。

2人が手を取りあって喜んでいる姿を、キッチンにいるゆみのお母さんとスターシャは嬉しそうに眺めていた。スターシャさんたち古代守一家は、地球でゆみたちの住んでいるマンションの隣の部屋に引っ越してきて、そこで暮らしているのだった。

スターシャは、イスカンダル人が着用している薄い青のロングドレスは着ていない。代わりに地球人の主婦が着ているシャツやデニムを着て、その上にエプロンまでしていた。もうすっかり、地球の専業主婦、サーシャのお母さんになっていた。心配していた地球の大気とイスカンダル人のスターシャとの相性の問題も、地球に降りてきたはじめの頃こそ、少し喘息があったが、今ではすっかり地球の大気に慣れしたんでしまっていた。

地球の大気に慣れてしまったスターシャは、それと同時にイスカンダル人が持っていた不思議な第六感というか、超能力のような力もすっかり失ってしまっていた。それは娘のサーシャも、同じだった。そして、ゆみにも不思議な力が無くなってしまっていた。

すっかり普通の地球の女の子に戻ったゆみの姿を、安心したように見つめているのは祥恵だった。祥恵も、宇宙戦艦ヤマトを降りて、防衛省の地上勤務に異動し、家から省庁に通うようになっていた。それは、古代守も同じだった。

古代守は、暗黒星雲との戦いで亡くなった長官の後を継いで、今は地球防衛軍の長官になって地上勤務になっていた。宇宙戦艦ヤマトの艦長は、弟の古代進に譲っていた。

ゆみの持っていた不思議な力は、宇宙戦士訓練学校に通っている竜やあゆみたちの元に移ったようだった。彼らは、その不思議な力を存分に使って、宇宙戦士の訓練を常にトップの成績で習得するようになっていた。このままいけば、おそらく2年後の訓練学校の卒業式では、彼らが首席で卒業することになるであろう。竜なんかは、首席で卒業したら、自分のコスモタイガーは何色に塗ってもらおうか既に塗装の色まで決めているぐらいだった。

竜やあゆみは、宇宙戦士訓練学校を卒業したら、おそらく宇宙戦艦ヤマトの新人乗組員になるのであろう。

しかし、この後、特に地球に恐ろしい宇宙人の敵が襲ってくることもなかった。地球に、ようやく平和が戻ってきたようだった。

実は、デスラー総統率いるガミラスは、ヤマトと別れて第二のガミラス星を探しに行き、第二のガミラス星を無事に見つけることができたのだった。その第二のガミラス星周辺をガミラスとして制圧して、そこに「ガルマン・ガミラス帝国」という帝国を気づいたのだった。そのすぐ側に「ボラー連邦」という国もあって、お互いの国同士でいろいろいがみあうこともあったが、話し合いで解決するなど平和に暮らしていた。

そんなガルマン・ガミラス帝国やボラー連邦そして地球の宇宙戦艦ヤマトをも巻き込み、宇宙では戦いが展開されてしまっていたことも一時期あったようだったが、既にヤマトを降りて、地球で女子大生をとして大学のキャンパス生活をエンジョイしていたゆみやサーシャには全く知る由もなかった。

宇宙戦士訓練学校を卒業してヤマト乗組員になった竜やあゆみたちは、その戦いにもヤマトに乗っていたようだった。が、ゆみもサーシャも、その戦いには全く関与することは無かった。最も、不思議な力を完全に失った2人がヤマトに乗っていたとしても、戦いの役に立つことも無かったであろう。

この戦いのことについて、長官と防衛省勤務の古代守と祥恵は知ってはいたが、仕事のことは家庭には全く持ち帰らなかったので、祥恵の両親や古代守の家族、スターシャたちが知ることも無かったのであった。

 

スピンオフ「ヤマト編」完

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