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もうひとつの地球

「なんとか暗黒星雲の気流の中を抜けきったな!」

島大介は、ホッとしたように言った。

宇宙戦艦ヤマトは、暗黒星雲の激しい気流の中を抜けきって、どうにかこうにか暗黒星雲の裏側に出れたのであった。途中、気流の中で出会った暗黒星雲の宇宙船たちも、自分たちが気流を抜けるのに精一杯だったみたいで、ヤマトの存在を見過ごしてくれたのも幸いしたようだった。

「お疲れさま、島」

「島さん、大変だったわね」

古代進と祥恵は、航海長の島大介の操船を労った。

「え!しかし、ちょっと待てよ!俺たちって暗黒星雲の中を突っ切って裏側に出たはずだよな」

古代進は、ヤマトの正面に見えている景色を確認しながら、島大介に言った。

「ああ、今ヤマトは暗黒星雲の裏側にいる」

「本当かよ?じゃ、あの目の前に見える星はいったい何なんだ?」

古代進は、目の前に見えている星を指さして聞いた。それは、明らかに地球だった。地球の周りには、月や太陽、火星、木星、土星などの星もあって、紛れもなく、いま目の前にある景色は地球の、銀河系だった。

「おい、もしかして、島。おまえ暗黒星雲の中を突っ切っているつもりで、どこかで反転してしまって、地球の側に戻ってきてしまったのではないか?」

「いや、そんなわけない、あるわけないだろう」

島大介は、古代進に言い返したが、自分でもいま目の前に見えている地球に方角を間違えてしまったのかとわからなくなっていた。

「ね、相原さん。方角はあっていますか?」

祥恵が、通信班の相原に質問した。

「ええ、間違いありません。機器によれば、島さんの進んだ針路は間違っていず、ちゃんと暗黒星雲の中を突っ切って、裏側に到達しているはずです」

「しかし、目の前に見えているのは、明らかに地球じゃないか」

古代進は、今度は相原に確認した。

「そうなのですが、針路的には間違ってはおりません」

相原も、少し自信なさげに機器が示す方角を確認していた。

「何を言っているの、皆は?どう見たって、あれは地球じゃないよね」

ゆみは、祥恵に言った。

「あんたは黙っていなさい。皆がチェックしているから」

祥恵は、ゆみの口を閉じさせた。

と、目の前の地球からヤマトに通信が入った。

「艦長、地球から通信です」

相原が、メインモニターの大型スクリーンに地球から傍受した通信を映し出しながら言った。

「こちら、ヤマト艦長の古代守」

古代守は、地球からの通信に向かって答えた。

「こちらは地球総司令官です」

どう見ても、地球人には見えない緑色の肌に白い髪、ヒゲを生やした男性が、古代守の呼びかけに答えた。

「あなたは、どちら様ですか?地球には大統領はいますが、総司令官というのはおりませんが」

「まあ、ヤマトの諸君が驚くのも無理はない。我々は、君たちの住む地球の世界から200年後の地球人だからな」

その総司令官は、古代守に説明した。

「200年後?」

「そうなのだ。暗黒星雲は、200年後の時を介しているのだ。その星雲の手前と裏側では、それぞれ200年の時を超えて地球人や他の星の人々が暮らしているのだ」

総司令官は、古代守に暗黒星雲に関するなんだか壮大な説明をしてくれた。

「そうか。暗黒星雲で隔てられたところで時空の壁があり、表と裏で200年後と前の世界が展開しているということか」

技師であり科学者でもある真田が、総司令官の説明をかみ砕いてヤマトの皆にも解りやすく説明をした。

「それでは、総司令官にお聞きしたい」

古代守は、通信の相手の総司令官に質問した。

「あなた方の200年後の世界の地球人が、今われわれ200年前の地球に戦艦で攻めてきているのだが、200年前の地球を、君たちが滅ぼすということは、200年後の地球の君たちも滅ぶということにはなりませんか?」

「むろん、そうじゃ。だから、我々は200年前の君たち地球を攻めて滅ぼすつもりなど全くない。但し、君たち200年前の地球人は、少し地球環境を無碍にしすぎている。このまま君たちが地球環境を壊し続けるならば、我々200年後の地球の自然環境も破壊され、大変なことになってしまうであろう。だから、これは200年後の我々より君たちへの警告だと思ってくれたまえ」

総司令官は、艦長の古代守に説明した。

「なるほど」

「とは言え、せっかく遠路はるばる200年後に来てくれたのだ。我々も200年前の地球、ヤマトの皆さんを、この星に招待させてもらいたいと思っている。ささやかな食事も用意した。ぜひ、200年後の地球に立ち寄ってくれたまえ」

総司令官は、ヤマトの乗組員たちのことを晩餐会に招待してくれた。

「晩餐会へのご招待感謝します。謹んで参加させていただきます」

古代守は、総司令官にお礼を言って、通信を切った。

晩餐会につづく

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