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ヤマト出航!
「ごめん、ごめん。遅くなちゃった」
森雪は、ヤマトの第二艦橋に入った。
「波動エンジン始動!」
航海長の島大介がヤマトの波動エンジンを始動させながら、復唱していた。
艦長代理の古代進は、艦長席に腰掛けていた。通信班長の相原や南武たちも、ヤマトの出航前で忙しそうにしていた。戦闘班長の席には祥恵が腰掛けて、波動エンジンのエネルギーの充填を確認していた。
遅れてきた森雪は、急いでレーダー席のところに移動した。
「雪さん、遅刻」
ちょうど戦闘班長の席の後ろを通りかかったとき、祥恵が振り向いて森雪に言った。
「ごめん。生活班の新人研修に時間を取られちゃって・・」
森雪は、祥恵に言った。
「え、今回の新人は、生活班にも新人いるんだ?」
「そうなのよ」
祥恵に聞かれて、森雪は答えた。
「とっても可愛い女の子よ」
「そうなんですか。雪さん、先輩ですね。今度、私にも会わせてくださいね」
祥恵は、森雪から話を聞いて、笑顔で答えていた。
「うん、もちろん。その子がヤマト乗組員としてもう少し上達したら、祥ちゃんにも紹介するね」
森雪も、祥恵に笑顔で答えた。
「ヤマト発進!」
隣の席の航海班長、島大介がステアリングを上昇させながら叫んだ。宇宙戦艦ヤマトは、停泊していた海上から離れて、空に飛び立った。
「それじゃ、また」
森雪は、祥恵と別れ、自分の担当のレーダー席に着く。祥恵も、戦闘班長の職務に戻る。
「コスモタイガー隊、ヤマトに接近!」
通信班の相原が、第二艦橋前方の大型スクリーンにヤマト前方を飛ぶコスモタイガー隊の姿を映し出しながら言った。
先ほど、宇宙戦士訓練学校の上空でパレードをしていた坂本たちのコスモタイガー隊が、パレードを終えて、ヤマトに合流するためやって来たのだ。
「こちら、コスモタイガー卒業生。これよりヤマトに合流します」
コスモタイガー隊よりヤマトに通信が入る。
「格納庫のハッチ、オープン!」
艦長代理の古代進が格納庫に指示し、ヤマト下部にある格納庫のハッチが開いた。そこから、新人コスモタイガー隊の機体は、順番にヤマトの中に着艦していた。
全員のコスモタイガー機がヤマトに着艦する中、一機のコスモタイガー機だけがヤマトの、ちょうど第二艦橋前方のところでアクロバット飛行を始めた。
「なに、やっているの?あいつ」
そのコスモタイガー機を見て、思わず戦闘班長の席を立って、祥恵は叫んだ。
「あれは、たぶん坂本ってやつだろう。今期のコスモタイガー卒業生の中で腕は達者なのだが、かなりのプライドの持ち主らしいから、自分の技術を見せびらかしているつもりなのだろう」
横にいた島大介が、祥恵に言った。
「何をやっているの!とっとと格納庫に着艦しなさい!」
祥恵は、通信マイクを手にすると、前方でアクロバット飛行しているコスモタイガー機に向かって、大声で怒鳴った。
「お気に召しませんでしたか?」
坂本は、コスモタイガーの機上から、特に悪びれた様子も無く、大声で怒鳴ってきた祥恵に返事してきた。
「早く着艦しなさい!」
もう一度、祥恵は坂本に注意した。
「とっても大変な後輩が来たな」
島大介は、ちょっと苦笑いしながら、横の祥恵に話しかけた。
「祥ちゃん、お互いに大変ね。新人研修」
後ろのレーダー席から森雪が祥恵に声をかけた。
「雪さんも、新人たいへんだったの?」
祥恵は、さっき森雪が遅刻してきたことを思い出して、森雪に返事した。森雪は、笑顔で頷いた。
「さっき、雪さんは可愛い女の子とか言ってたけど、本当はとってもお転婆な新人生活班だったりして・・」
祥恵に言われて、森雪は苦笑しながら頷いていた。
「お互いたいへんね」
「頑張りましょう!」
2人は、それぞれ相手の新人のことを想像しながら苦笑していた。
こわい教官につづく