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閣僚会議
「地上の復興の進捗状況はどうかね?」
地球政府の大統領は、閣僚会議の席で、ほかの大臣たちに訪ねた。
「順調です。予定通りに建物も道路も復興しています。ただ・・」
「アジア地区も、一応は道路の建設が終わり、今は高層ビルの建設に入っています」
「ロシア地区は、道路の復興からスタートし、道路に沿う形で住民たちの建物を建設しはじめてはいるのですが・・」
「ヨーロッパ地区も、道路からスタートし、これから道路に沿って、建物の復興に入るところではありますが」
各地区の大臣たちは、それぞれ大統領に進捗状況を報告していた。
「なかなか順調のようだな」
大統領は、皆からの報告を聞いて満足そうには答えていた。
「しかし、各大臣の皆さんとも、順調ですの後に、ただとか一応とかという言葉が入るのは、どういうわけなんだ?何か復興に当たって、問題点でもあるのか?」
大統領は、皆の報告を聞いて気になる点を聞き返してきた。
「はあ、皆どこも復興に関しては順調なのですが・・」
1人の大臣が大統領に説明した。
ヤマトが地上の放射能を除去した後、はじめは建設業関連の避難民から順番に地上に上がってきて、地上の街の復興を始めていた。その後、建設業関連でない避難民も、順番で地上に上がってきた。
建設関連でない避難民たちも、地上に上がってきて、はじめて気づかされたことがあった。それは確かに地上の放射能は、きれいになっているかもしれなかったが、まだ街全体の復興はされているわけではなく、大地だけが地上に広がっているということだった。街の復興をぜんぶ建設関連の人たちにお任せするのではなく、彼らも、自分たちが出来ることは、自分たちで街を復興させていこうと、いろいろ街の復興に尽力を尽くしていた。
もちろん、それは自分たちがこれから暮らしていくための街作りなのだから当然と言えば当然なのだったが、一度は宇宙人の襲来で街を破壊され、放射能だらけにされてしまった大地を、元通りに街として復興させるのは並大抵のことではなかった。
「ああ、一体いつになったら、この街は完成させられるんだ?」
「もう永久に街を復興なんてさせられないんじゃないか」
毎日、朝から晩まで街の復興に尽力をつくしている人々は、肉体的にも精神的にも疲れ果てていた。そういった不満が、各地域の地上に上がってきた人たちの中に多くくすぶり始めていた。
「このままでは、各地域の、住民たちの不満が積もり積もって、それがいずれ爆発したときに暴動とか、内乱などにつながり兼ねません」
大臣は、大統領に進言した。
「確かに、これは、放っておくと大きな暴動に繋がりそうだな。早めに住民たちの不満を解消しておいたほうが今後の復興にも有効だろう」
大統領は、大臣たちからの進言を聞いて、考え込んでいた。
「何か、皆さんの中にこうしたら良いというアイデアはありますか?」
しばらく自分でも考えてみたが、特に良い得策が思いつかなかったので、大統領は各大臣たちに投げかけてみた。
閣僚会議は、広い部屋の中央に配置された円卓、その周りに各大臣たちと大統領が腰掛け行われていた。
大統領の問いかけに、どの大臣も答えられるものがいなかった。閣僚会議の部屋は、しばらくシーンと静かな状態が続いていた。
「はい・・」
そんな沈黙の中、1人の大臣がゆっくりとおそるおそる手を挙げた。その大臣は、オセアニア地区担当の大臣だった。大統領は、手を挙げた大臣の方を向くと、発言するようにと黙って頷いてみせた。
穢多と非人につづく