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地球の決断
「ヤマトの諸君、地球政府の長官だ・・」
第二艦橋の相原からの救助要請を受けて、さっそく地球政府の長官から返事が来た。
「長官!お久しぶりです」
古代進は、長官が写し出された大型スクリーンに向かって敬礼をする。
「デスラー総統からの救助要請を、こちらでも確認した」
長官は、古代進に言った。
「デスラーは、ガミラスは、かつての敵だったが今や地球の同志だ。その同志からの救助要請なのだから迷うことはあるまい。早速、ヤマトは救助に向かってくれ」
「しかし、長官。イスカンダル星には私の兄が・・。兄の危機を救うという私の個人的なことに宇宙戦艦ヤマトを使うというのは・・」
「古代、何を言っている。これは君の個人的なことのための使用ではないぞ。イスカンダルには、地球は放射能だらけの中から救っていただいたという恩義がある。今度は、そのイスカンダル星の危機なのだ。地球としてイスカンダル星に恩返しをする絶好の機会ではないか」
長官は、古代進に言った。
「それに今、これから地球からイスカンダル星に向かえる戦艦の中では、ヤマトが一番近くにいるだろう。君たちが救助に向かうのが最適と思う」
「了解しました!」
長官の話に対して、古代進は敬礼をしながら返答をした。
「われわれヤマトは、これよりガミラスからの救助要請を受けて、イスカンダル星救出に向かいます!」
「うむ、よろしく頼む」
長官も、大型スクリーン越しに古代進へ敬礼を返した。
「よし、皆!これより、宇宙戦艦ヤマトはイスカンダル星救出のため、ガミラスと協力して謎の黒艦隊を倒しに向かう!」
艦長代理の命を受けて、第二艦橋にいたヤマト乗組員たちは大きく頷いた。
航海長の島大介は、ガミラスたちのいるイスカンダル星に向けて針路を取った。戦闘班長の祥恵も、これからガミラスとともに正体不明の黒艦隊を倒しに行くということで戦闘班長席に腰掛けながら気合いを入れていた。
ヤマトがこれからガミラスと合流して、謎の黒艦隊からイスカンダル星を救出するということは、ヤマトの艦内放送などを通じて全乗組員に伝えられた。
「ゆみちゃん、大変なことになちゃったね」
医務室で、佐渡先生やゆみと待機していた森雪は、ゆみに言った。
「それじゃ、地球には戻らないの?」
「そうね。まずは太陽系の外のところまで放浪してきたイスカンダル星のところまで行って、そこでガミラスの艦隊と合流して、謎の黒艦隊を倒すことになるわ。黒艦隊を倒して、イスカンダル星の人たちを救ったら、その後にヤマトは地球に帰れるでしょうね」
森雪は、ゆみに説明した。
「イスカンダルを助けるのは、イスカンダルが地球の放射能をきれいにしてくれたから、そのお返し、お礼に今度はヤマトが助けるんでしょう?」
「そうね」
「じゃ、なんでガミラスと協力して助けるの?ガミラスっていうのは地球を放射能だらけにした敵でしょう。どうしてそんなやつと協力するの?」
ゆみは、森雪に質問した。
「そうね、なんて言ったら良いのかな。ガミラスは確かに最初は地球のことを遊星爆弾で放射能だらけにしちゃったりしたんだけど、それからいろいろあってね。今はガミラスと地球は仲良くなったのよ」
「昨日の敵は、今日の仲間ってところじゃな」
森雪の説明に、佐渡先生が一言説明をつけ加えた。森雪からの説明を聞いても、ゆみには、今ひとつ理解できなかった。ガミラスは、ゆみにとっては東松原の家を壊した張本人なのだ。宇宙船で襲ってきて、ゆみのお姉ちゃんのことを穴に落とした憎き相手なのだ。その後、地下シェルターに避難し、ヤマトが戻ってくるまで一年もの長い期間、そこで不自由な生活をさせられた。しかも、放射能がきれいになった後も、貧民にされてしまい貧民街に閉じ込められるようにもなってしまったのだ。
そんなガミラスとヤマトが協力して、正体不明の敵を倒し、イスカンダルを助けるなどという話、ゆみには到底理解できなかった。納得いかなかったのだった。
いよいよ出動!?につづく